詩を書きます。No.6
珍しくポジティブな詩だと思う。
『石ころの効用』
つま先で石ころを弾いた。
ひざ下まで浮いた石ころは何処へ行く。
決まっている。後は土の上に戻るだけ。
そこら辺の石ころに戻るだけ。
少し目を離せばそれでおしまい。
同じ色と同じ大きさの石ころ達と見分けがつかない。
もう少し強く石ころを弾いた。
太ももまで浮いた石ころは何処へ行く。
決まっている。後は土の上に戻るだけ。
そこら辺の石ころに戻るだけ。
少し目を離せばそれでおしまい。
同じ色と同じ大きさの石ころ達と見分けがつかない。
もしも、落ちないほど強く弾いたらどうなるのだろう?
分厚い大気の層をぶち破り石ころは何処へ行く。
想像だが、後は宙の中へ進んで行くだけ。
そこら辺の星くずになるだけ。
少し目を離せばそれでおしまい。
同じ色と同じ大きさの星くず達と見分けがつかない。
ただ少し違う。目が上を向くから姿勢が良くなる。
あり得ない想像は僕を少し前向きにさせる。
在り来りな石ころは相も変わらず石ころだ。
それでも僕のつま先にあるこの石ころは特別な石ころだ。
少し目を前に向けるだけ。
つま先で石ころを弾いて、また一つ星くずを作った。