ネガティブ方向にポジティブ!

このブログは詰まらないことを延々と書いているブログです。

【あなたが眠るまで。】その1

1.そして、日は沈みゆく

 

目を覚ましたら、僕は暗い場所にいた。 

がやあー、がやあー 

アレは…鳥だろうか?朱い何かがクルクルと舞っている。 

がやあー、がやあー 

けたたましく鳴くソレは、僕の上をクルクルと回っている。 

がやあー、がややあー 

いや、アレは鳥ではない。

鳥であるはずがない。

空は暗い。

黒い空であんなに高いところにいるのに、何故ああも朱く見える?


ここは何処なんだ?


「気が、付いた?」 

唐突にヒトの声が聞こえた。 

「大丈夫?何処か痛いところはない?」 

それは今にも消え入りそうなか細い声で僕の耳に伝わってくる。

さっきまで鳴いていた朱い何かはもう何処かへと行ってしまったようだ。

あれだけ騒がしかったのに今あるのは細い細い、誰かの声。

それ以外は何も聞こえない。

あの鳥らしき何かは、何処へ行ったのだろう? 

「ねぇ、大丈夫なの?ケガはないの?」 

それにしても本当に小さな声だ。

これほど小さな声ではよくよく注意しなければ聞き逃してしまいそうだ。

どうして聞こえているのか不思議なくらいだ。

よっぽど近くにいなければ……もしかして、声をかけている相手は、僕?

そのことにようやく思い至った。 

「……ねぇ…お願いだから、返事をして……」 

やばい、なんだか泣きそうな声になっている。

早く返事を。

しかし、声を出そうとした瞬間、頭にズン、という重いモノが響いた。

「?!ーーーー!」 

頭がぐらぐらする。

まるで脳みそに鎖を巻き付けられて振り回されてるようだ。

ただただ声にならない痛みとどうしようもない吐き気がこの身を襲ってくる。 

「…ミツケ………ツケタ…………ドウシ………ウカ………………」 

別の声が聞こえ、た?

よくわからない。

それよりも、頭が…………と顔に何かが触れた。

するとどうだろう、僕の体を駆け巡っていた痛みは、徐々に引いていくのがわかった。

そして痛みが引くとともに、目を覆うようにして置かれたそれは、冷たくも温かくもなく、ただ無機質な感触だけを僕に伝えていた。

 

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