アスファルトに落ちた雨は、何処へ消えるのだろうか?
雨が空から降るのは不思議だ。
でも、今見ているあの雲から地上へ落ちてくるのは、分からなくもない。
雨はあの雲から落ちてきたのだ。
その雨が、運良く土の上に落ちれば、草花の恵みとなるのも分からなくもない。
水の上に落ちれば、海川へと巡るのも分からなくもない。
ただ、アスファルトに落ちた雨の行方は、分からない。
アスファルトへ染み入ることがなく。
土や水のある所に濁々と流れゆくのみ。
アスファルトの上を雨は滑っていく。
そうして、雨が通り過ぎた後のアスファルトには、運悪く流されなかった雨が残る訳だ。
アスファルトの普段の白っぽい見かけが剥がれ、真新しく、舗装された頃のような黒さを見せる。
長く時間をかけてできた窪みに行き場を見失った雨が身を寄せ会っている。
濡れたアスファルトの上を歩けば、びしゃびしゃと音がなり、靴の底に雨がへばり付く。
行き場がない雨は、こうしてアスファルトに居る。
ここまでは見たままの出来事だ。
しかし、晴れの日の、赤い太陽に照らされた、青い空の下のアスファルトは、気付けば雨など居なくなっている。
先ほどまで居た雨は、見る影もなく、渇いた白っぽいアスファルトが素知らぬ風に居る。
あれだけあったのに、これほど気付かないものだろうか?
アスファルトに落ちた雨は、何処へ消えるのだろうか?
天に還った、というならばその瞬間をどうして私は知らないのだろうか?
見えているはずなのに、見えてないとは此れ如何に?
誰か雨の行方を知っている方はそっと教えてください。
投稿します。