国宝、仁科神明宮にて。
自動車の中で、暖気運転をしながら、凍ったガラス窓を溶ける様を眺める。
北極の氷が地球温暖化で溶けていく様子を衛星から見ているような、ダイナミズム感がある。
透明さをじわじわと取り戻していくガラス窓に、ワクワクしている私がいる。
もう9日になり、月の3分の1が終わろうとしている。
仕事やら、掃除やらに追われて、益々忙しい。
さて、特に何事もなく、ここまで来た。
大きな病にかからず、仕事も問題なく、時に豪勢に遊び、後は慎ましく。
清貧な暮らしを過ごした。
最近は、「スロー、スモール、シンプル」な生活が良いのではないか？と考えている。
ミニマリストに成りたい訳でも、スローライフを目指そうとしている訳でもない。
ただ、自分の両手で抱えられるくらいが丁度良いように感じる。
「有ったら有ったで良いけれど、無ければ無いで構わない」の精神でここまで来た。
そうした生き方の、ガムシャラに生きる人たちとは対極の、最終形態へ向かうのは、むしろ至極当然だろう。
もっと遅く、もっと小さく、もっと単純に。
突き詰めていけば、この身体を抱える私が1人最後に残るだろう。
あと10年20年と今の思考のまま、生きていたら、どうなるだろうか？
最近の、真新しい疑問だ。
溶けきってただの露と化した氷を、ワイパーで軽く拭き取る。
空の青さに、目を細める。
