朝から忙しく、ばたばたと動いた。
ばたばたと忙しい合間に、山の表情が変わるのを見やる。
私の心がそう見せるのか、今日はころころとよく表情が変わった。
朝、山は驚くほど真っ青であった。
雲の隙間から大胆に覗かせる青空より尚青く、静寂を閉じ込めていた。
白い光がより山の青さを際立たせ、山は青そのものであった。
昼、山の稜線がパッキリと引かれていた。
極太の油性マーキングペンでなぞったかのように、山はその存在感を示していた。
朝よりも幾分か和らいだ青さと稜線のコントラストが見事だった。
夕、山は弛みきっていた。
同じく弛みきって平たくなった雲が山に乗っかり、一緒になってだらけていた。
夕焼けに照らされた良く言えば穏やかな、悪く言えばアホ面な顔をした山があった。
1日を通して、山は様々な表情を見せた。
しかし、どの山も、長野の山だ。
偶々、いつもより見やることが多かったが、いつもと変わらず、山はある。
夜、山は姿を隠している。
明日、日の光が東から昇れば、今日とは違う表情をすることのだろう。
それを意識して見やることは、ないだろう。
そこに山がある。
長野県に住まうとは、つまりはそういうことだ。
是非、訪れて体感して欲しい。