スクランブル交差点を小学生5人が駆け足で渡っていく。
時間は朝7時30分、これから小学校に登校するのだろう。
渡り切った5人はそのまま駆け出して、いかなかった。
5人組は一斉に振り返って、じっと1人の男の子を見ていた。
明らかにその男の子を待っているような雰囲気だ。
集団登校だから、全員で行動と教えられているのかもしれない。
しかし、5人組にじっと見られているにも関わらず、マイペースにゆっくり歩いている。
歩行者用信号機が点滅し始めても、一向に歩く速度を変えずに、ゆっくりゆっくり渡っていた。
5人組は、呆れたのか、痺れを切らしたのか、そっぽを向いて地面を弄り始めた。
歩行者用信号機が赤に変わる頃、ようやく男の子は渡り切った。
5人組は地面を弄るのに夢中になっていた。
その様子を確認した男の子は、そのまま5人組を置いて、とっとと先へ進み始めた。
超マイペース…見ていてハラハラする。
待たせておいて先に行くのもどうか…いや、しかし、5人組と男の子の間に距離があるような…
置いてかれたことに気付いた5人組は、どう感じるだろうか?
ヴァアアアア___突然、辺り一面に不協和音が鳴り響く。
クラクションの音だ、上方へ目をやれば、しまった、青信号に変わっている。
慌ててアクセルを踏み込んで、交通の乱れを戻すことにしばらく努めた。
帰宅後、時計を見ると9時を過ぎていた。
すでに授業は行われていることだろう。
あの男の子は、あの5人組は、どうなったのだろうか?
朝の、スクランブル交差点で、私は、小学生の集団を、目撃した。
時間にして、5分、いや、もっと短い時間の出来事だった。
しかしあの光景は、良しとすべきか、悪しとすべきか、分からない。
ただ、仲良くあって欲しいと、彼らの今後を知る術を失った私は願う。
どうか、彼らが幸せで満たされますように…
私にできる、最初で最後の、彼らへの祈りを、10秒だけ。
さて、眠くなったので、さっさと寝ることにする。
皆様、おやすみなさい。