玄関のドアを開けようとすると、強い風が押し戻してきた。
小学2年生の子ども1人が踏ん張って抵抗しているような、手応えのある押し戻しだ。
しかし、大人の腕力に敵うわけなどなく、押し返せば難なく開いた。
もう少し抵抗してくれたら良いのに、と残念がる。
私の身体の筋力なら、高校1年生くらいの腕力で負ける。
そしたら、「玄関に何者かが居て、出社することができません」と電話ができるのに。
そうは言っても、のんびりしてられない。
働かざる者、食うべからず。
この訓戒より、働かなくても構わないが、食べられないとしたら自己責任、の方が時代に合っているかもしれないが。
たらたら歩いていたら、今度は背中を強い風が押してくる。
ほらほら歩け、とつんつく押してくる。
お前はいたずらっ子か、と心中考えながら、さっさか歩みを速める。
風の気まぐれは今に始まったことではない。
一々一喜一憂していても、仕方ないのだ。
風の吹くままに身を委ねる楽しさを知る故に、ある意味で、無心になれる。
嗚呼、とやかく考えていたら、会社に着いた。
南無三、ある意味で、無心になる。
そんな私を風はけたけた笑って、見送ってくれた。
さあ、一踏ん張りだ、と意気込みながら投稿する。