玄関から出ると、丁度ツバメがすいっと軒下へと飛んでくるのを見かけた。
目でそれとなく追いかけると、軒下の角にツバメの巣があり、2匹の子ツバメが顔を出していた。
親ツバメが子ツバメにせっせと餌付けをしていて、もうそんな時期か、と独りごちた。
そこに母が来て、私と同じように顔を上げた。
窮屈そう、と母は呟いた。
子ツバメはすでに図体が大きく、親ツバメと比べても大きさは然程変わらなかった。
それでも親ツバメと子ツバメは随分差があるように見える。
子ツバメは首から下が毛羽立っていて、顔も痩けているように見える。
家でスウェットで寛ぐ息子と家事をこなす母親のそれと似ている気がする。
こんなだらしなくて、ちゃんと巣立てるのだろうか?
それにしても、ぼさっとした格好に、ぼけっとした顔、何処かで見たような…
あ、鏡の前で欠伸をする私だ。
他者は鏡、気になる所があるのは、普段からそう言われて気にしているから。
いや、しかし、ぼさっとした格好でぼけっと過ごす家は快適で素晴らしい…
何時か巣立つ子ツバメより質が悪い、一緒にしてごめんよ。
しばらくは、ツバメの行き交いを楽しめる、そんなことが嬉しくなる。