息をするだけで苦しい時がある。
別に呼吸ができない訳ではない。
ただ、私の空っぽの胸の内が、何となしに苦しい。
居間の座高の高い木椅子で、一人座っている時、時折そんな風になる。
特段、悲しいとか、寂しいとか、切ないとか。
そんなことは全くない、ないけれど。
瞼を閉じて、このまま肺から一切の空気が抜けて、そのまま時間が過ぎ去れば良いのに、と考える。
朝の日差しに照らされて、溶けて、消えてしまえばどれほど幸福だろうか?
時間にして5分くらいの、何となしに訪れた苦しみは私が瞼を開ける頃には、いとも容易く何処かへとすり抜けている。
そうして、肺に残った空気を惜しむように、私はため息を吐く。
またしてもあの苦しみは、私を置いて行ってしまった。
深々と腰かけていた私は、どっこいせ、と立ち上がる。
次は何時やってくるだろうか?あの苦しみは。
ただただ、じっとして動かない私を、あの苦しみは何時連れ去ってくれるのだろうか?
益のないことを巡らせながら、居間を後にする芒種の季節。
投稿します。