深夜、山道を通った。
つづら折りの急な坂道を鼻歌交じりで快走した。
鹿が2頭、現れた。
左側の路肩をすたすたと歩いていた。
数秒、鹿2頭と並走した。
しばらく、ひた走った。
すると、今度は鹿が3頭、現れた。
広い敷地でもぐもぐと食事をしていた。
こちらに気付くと、山の中にぴょんと入り、警戒した様子でじっと見てきた。
また、しばらく、ひた走った。
すると、1頭の鹿が目の前を横切った。
そして、そのまま、素知らぬ顔でふっと樹木へと分け入っていった。
合計、6頭の鹿に出会った。
一晩に6頭も野生の鹿に出くわすとは。
そろそろ冬になり山に食べ物がなくなるこの時期、食べられる物を求めて人里まで降りてくること自体は珍しくない。
しかし、これだけ出くわすとなると、余程、自動車が通らないのだろうか?
ちょっとしたサファリパーク体験をしたような気分だ。
長野県の山で今回の分を合わせると、8頭の鹿は居る。
こうして考えると、鹿はポピュラーな動物なのかもしれない。
その内、東京都の八王子辺りでも見かけるかもしれない。
昔は鹿はご利益があると言われていた。
一晩で6頭も見たのだから、何か良いことがあるかもしれない。
大事なのは、期待しないこと。
何か良いことがあった時に喜べば良いし、何も良いことがなくても気にしない。
「これは良いことがあるぞ!」と明るくなるのは良いとして、どうすることもできない運に期待しても仕方ない。
何か良いことがあった時に、「鹿がご利役を持ってきてくれた」と考えて、ひっそり感謝すれば良いだけ。
6頭も出くわしたことに、私の高揚感は天元突破したので、すでにご利益があった訳だが。
三日月の晩、山道にて、ご利益あり。
ゆるり手を合わせて、ひっそり感謝する。
(画像は同席した知人が描いたイラスト)
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