湿気ったビスケットを1枚口に放り込む。
もしゃもしゃと咀嚼しながら考えようとする。
しかし、何処かに頭のネジを落としてしまったようで、カタカタと空回りばかりする。
頭のネジを落としたのは今回が初めてではない。
むしろ、日常茶飯事だろう。
そして、失くしたネジを見付けることはほとんどない。
不思議なもので、ネジが足りなくても日常生活を送る上で、ある程度の動作は問題ないのだ。
これだけ抜けているのだから何かしらの不調があって然るべきなのに。
ある程度以上のことも無いに等しいので、必死に探そうとも考えない。
しかし、ネジがなければ何時か本当に困ることになりそうな予感はする。
このまま歳を悪戯に重ねていってどんどんとネジが落としていけば、最後は考えない人間に成り果てるだろう。
考える力まで失われても、人間は人間の矜持を保てるのだろうか?
カタカタと空転、ばってん、どったんばったん、私の頭は早くも騒音を立て始める。
ネジで固定していた部分が緩めば、動きが悪くなるのは当然か。
早くも他のネジも抜け落ちそうだ。
もう1枚、ビスケットを頬張る。
もしゃもしゃと咀嚼して、指先をちろりと舐める。
手で適当に置かれたティッシュ箱を探し当て、2枚引き抜き、舐めた指先を拭き取る。
………何かを忘れている。
嗚呼、何かを忘れてしまった。
いや、私は忘れてしまったのだろうか?
いいや、一先ずこのまま投稿しよう。
一休みして、何かをしよう。
何をするかは…思い出したらにしよう。