朝闇の中、家路に着いた。
路肩には雪がどかりと寄せられていた。
まだこれから寒くなるのかと、首を縮めて怯えた。
ふと、玄関先にあった緑色の如雨露の中を覗いた。
薄氷が張ってあった。
透明なのにうっすらと光の反射して、自己主張していた。
意味もなく、指で推してみた。
パキッ、と音は氷の割れる音か、プラスチックの如雨露の軋む音か。
底に振動で揺れる自己主張が強い透明な水があった。
ただの氷にただの水の癖に我が強くて嫌になった。
あの透明な剣幕を朝の中に押し留めてしまおう。
不透明な私は、何も主張せずにその場を離れた。
意地悪な性根を発露する、不透明な上に自己主張の強い私だ。