今日は仕事終わりに人と会う約束をしていた。
いそいそと向かっている時にメッセンジャーが届いた。
お会いする予定だった人が、仕事で来れなくなった旨が書かれていた。
ドタキャンに遭遇した。
中々にレアな経験だ。
ここ最近に人と関わることが増えたからできたことだろう。
さて、とは言え、暇になった。
仕方ないので、回転寿司屋で腹を満たした。
馬肉の寿司が回ってきたので、今回はとても良い日だ。
回転寿司屋での帰り路、タクシーの後ろに付いた。
どれ、このタクシーでも記事にしてやろうか、と考えた。
しかし、特にタクシーについて考えつくのは、2つだけだ。
1つ目は犯人を乗せたタクシーだ。
その後ろを刑事やら探偵やらが別のタクシーを捕まえて、「あの前のタクシーを追いかけてっ!」と急かすのだ。
追いつ追われつのスリリングな展開が繰り広げられる、サスペンスドラマを思い浮かべた。
2つ目は幽霊を乗せたタクシーだ。
顔がよく見えない不気味な乗客は、実は幽霊だった。
その幽霊に誘われていくのはあの世へと続く道、というホラーを妄想する。
果たして、正解はどちらだろうか?
犯人だろうか?
幽霊だろうか?
交差点で右折ラインにタクシーが入った。
私は左折直進ラインに滑り込む。
何となく、右側が向けない。
妙な圧迫感を感じる。
隣には犯人がいるのだろうか?
隣には幽霊がいるのだろうか?
ええい、ままよ、どうにでもなれ!
と恐る恐る、ちらっと見た。
タクシーには、助手席にも後部座席にも誰も乗っていなかった。
信号機が青になった。
タクシーは右折した。
私の自動車は左折した。
ただ、タクシーに遭遇した。
珍しくもない。
それでも、奇妙な体験をした気がした。
今晩は何か変な夜であった。
明日には、すっかり忘れていそうな、小さな出来事だ。
それでも、何か変な夜であった。
奇妙な気分にきっと私は。