今日は気を付けなければならない。
何故なら、今日は4月1日、エイプリルフールだからだ。
どんな嘘が飛び出すか、注意しなければならない。
昼頃、食堂のテレビが特別番組を放映していた。
平成の次の年号の名前は、「令和」となるらしい。
れいわ、妙に小戯れている気がする。
ははあ、これは壮大な嘘だな。
日本の年号がこんな小戯れている訳がない。
きっとテレビ局の悪ふざけだろう、そうに違いない。
新年号が発表されてから約1時間後、ゴールデンボンバーが新曲「令和」をMVを公開した。
ほら、早過ぎるでしょ?
発表されてから1時間でMVを作って公開とか、どんなホラ吹きだよ。
私は騙されないからね、と踏ん反り返る。
帰宅後、夕食を食べながら、のんびりと過ごす。
その間に他のニュースを見る。
何処も彼処も「令和」の話題だ。
あれ?可笑しいな?
もしかして、「令和」が新年号というのは、本当なのか?
段々と冷静になって、ようやく正面から聞く体制になれた。
「令和」の出典は万葉集からとのことだ。
今までは中国の古典からだったから、国文から出たのは大きな転機だろう。
令は、何事をするにも良い、という意味があると知り、新しい年号に相応しいな、と遅蒔きながら褒めそやす。
5月からは平成から令和か、と考えていると、違和感を覚える。
はて、令和が本当だとすると、ゴールデンボンバーのは一体何だったのか?
もう一度、飛んでみて、どうやらゴールデンボンバーも本当に1時間で作ったらしいことを知る。
どんな嘘が飛び出すか、注意しなければならない。
そうした意識の性で、本当のことを見過ごしてしまいがちだ。
そう、4月1日だからと言って、嘘を吐かなければならない道理はないのだ。
兎角、目出度い日であるのは違いない。
令和の曲でも聞いて、今宵の細やかな宴としようかな。
嗚呼、気付けば、嘘がない日であった。
令和の年号が発表された日を記念して。