夜切れに迷い込む。
百鬼夜行の最後尾、その通り道、妖しい残り香が漂う。
もう1時間もすれば、仕事に行かなければ。
臨兵闘者皆陣列在前、九字を切る。
詳しい意味は、知りはしない。
ただ、世界に挑む自分を演出できて、気分は良い。
陰陽も物ともせず、千鳥足で歩く。
八卦も当然気にもせず、阿呆面下げて歩く。
本当は、危険も不穏も手招きしている。
そうは言っても科学の徒である私は信じない。
自分の哲学を基盤に危険も不穏も薙ぎ払う。
薙ぎ払っても薙ぎ払っても、手からは拭い切れないのに。
私は一体、何を書いているのだろうか?
信じていないのに、不可思議な存在を示唆している。
いやいや、私は見たことがないからと言って、見たことある人を否定する理由にはならない。
つまりは、ダブルスタンダード?
そう言うつもりでもないが、そういうことになるのだろうか?
私の舌は二枚舌、嘘を言わないと誓ったことは、一度もない。
なるべく誠実に、なるべく正確に。
確からしいことを書こうとすれば、確からしくないことも書かねば。
ひとまとめにする不遜な私は、今日も妖しいモノ共に目を付けられる。
夜切れに迷い込む。
百鬼夜行の最後尾、その通り道、妖しい残り香が漂う。
外からはスズメの列、その最先頭、私の知っている確からしいことが始まる。
おはよう、夜が切れて、生還す。