朝、工場で働いていたのは、私一人だけだった。
広い食品工場の中で、一人黙々と作業をした。
機械がうねる音が単反響して、静けさを演出していた。
5ラインある内の4ラインが金属探知機の検査が入ることになった。
そのため、4ラインは昼からの出勤であった。
残りの1ライン、私のラインは関係なかったので、普通に朝から出勤だった。
その上、私は機械オペレーターという立場であった。
機械オペレーターの人は6時30分、他の人は8時からが通常の勤務形態だ。
何が言いたいかと言えば、つまり、朝から1時間30分、私しか工場内にいなかった訳だ。
どうせなら皆足並み揃えれば良いのに、と会社の都合を考えずに愚痴る。
朝から黙々と作業をしても、できる量など高が知れているのにな、とぼやく。
ただ、工場内を歩くと私しかいないので、妙な高揚感は覚えた。
うだうだしながらも、一応の目処まで進める辺り、私は意外と真面目だ。
もっとさぼっても良かったか、と考えなくもない。
ああ、明日も朝からか、と考えたくないことを考える。
と、帰り間際に工場長に話しかけられる。
「(ラインの都合上)明日は休みね」
…イヤッフー!明日は、休みだっ!
明日は早く起きなくて良い。
なんて素晴らしいことなんだろうか。
このまま朝が来ないことを願うばかりだ。
今日は朝から頑張った、ということを書いた。
別に社会に出ればよくあることなのだが、頑張ったことには変わりない。
つまり、私はよくやった、となめすように褒めようと考える。
取り敢えず、明日の事はもう考えず、うだうだとすることをここに宣言する。