ネガティブ方向にポジティブ!

このブログは詰まらないことを延々と書いているブログです。

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頑張れ、とは言えない。

もう頑張っているのに、追い詰めるだけだ。

それに私自身が頑張っていないのに、頑張れとは何様だろうか。

 

無理はするな、とは言えない。

頑張っているのに、手を抜く暇などない。

頑張ることはいつもの自分を越えていくことなのだから、無理しているに他ならない。

 

あなたならできる、とは言えない。

できるという信頼は、ある種の脅迫だ。

できなかったときにへし折れるのは、言葉をかけた人ではなく、言葉をかけられた人の方だ。

 

どれだけ言葉を尽くそうとも、所詮は他人事だ。

どれだけ言葉を選ぼうとも、負担になるだけだ。

言葉の重さに怯えて、口を閉ざしてしまいたくなる。

 

己が定めた道を歩こうとする人を私は頭を垂れて敬意を表する。

重たい言葉を必死に背負って歩く人を、私は遠くから頭を下げる。

歩く人から滴り落ちる汗で跡が残り、その汗の跡を私はじっと見る。

 

しかし、ふと顔を上げれば。

歩く人が後ろを振り向いているときがある。

そうしてこう言うのだ、「応援して欲しい」と。

 

当惑する私にただ一言そういって、また歩き出す。

呆然と背中を見て、そして気付く。

歩く人は背中を押す言葉が欲しいのだ。

 

あれだけ重い言葉を背負っているのだ。

背中を押されたいに決まっている。

しかし、何の言葉をかければ、正解なのだろうか?

 

私の言葉が負担になりはしないだろうか?

私の言葉が枷になりはしないだろうか?

ただ無言で見送るのが、本当の優しさではないだろうか?

 

ぐるぐると逡巡して、嗚呼、それでも。

あの背中を押すのには、言葉を発するしかなかった。

遠くにいる私にできる、唯一の方法が、言葉をかけることだった。

 

一呼吸、息を吸って。

馬鹿みたいに速い心臓の鼓動と、熱くなる頬を自覚しながら。

震える声で、噛みながら、声をかける。

 

頑張れ。

無理をするな。

あなたならできる。

 

私が言える、恥ずかしいまでに矮小な、精一杯のエールを、遠くへ歩く人へ。