演出のKOさんに引き続き話をした。
文章だと固い敬語に成りがちで、往復するのも少し時間がかかる。
そのKOさんが芝居について語ってくれたのを少し書く。
芝居は嘘である。
日常で「嘘を吐く」のはどちらかと言えば良くない部類だろう。
しかし、芝居では嘘を吐かなければ芝居にならない。
人を殺めた芝居はそういう嘘で、本当に人を殺めない。
非日常を体験したい、物語を楽しみたい、芝居はエンタメである。
どこかの誰かの人生を覗き見したいのは人間の欲求なのかもしれない。
嘘を吐くのだから、何をやっても良い。
それはすべて嘘、虚構の出来事だ。
しかし、何をやっても良い芝居だが、間違いもある。
それは嘘の吐いている最中に、その嘘に嘘を吐く。
嘘を吐いているが、その嘘に嘘を吐いてはいけないのだ。
観ている人が嘘が嘘だと分かってしまったら、興醒めしてしまう。
観ている人も巻き込むためには、嘘が嘘だと悟られないようにしなければならない。
つまり、嘘を本気で吐かなればならない。
本気で嘘を吐こうとすれば、自ずと嘘が本当だと役者が思い込むのかもしれない。
舞台で生きる、というのはどういうことなのか、少し分かったような気がする。
どれだけ本気で向き合えるか、正面から考えられるか、嘘に本気になれる人が役者に向いているのかもしれない。
本気の嘘を吐く、芝居の新しい見方ができて嬉しい。
今は真っ直ぐ本気の嘘を吐けるよう精進する。