道を走るその脇の田んぼが黄金に波打っている。
嗚呼、秋だ、秋の色だ。
10月8日の昼頃の外は晴れて、遠く日本アルプスの雲も雄大だ。
10月と言えば、16日がせーのでめしあがれの劇「劇中夢」の本 番である。
本番といっても外部の観客は入れない非公式の演劇である。
本当はちゃんと観客を入れて演劇をしたかったのが気持ちの奥底で 燻ってはいる。
しかし、嘆いても仕方ない。
刻一刻と時間は過ぎ、秋はするすると終わっていく。
まだ日中は暑いが、日が落ちれば冷えてきて、冬がウォーミングア ップをし始めているだろう。
よく考えれば、「演劇」としてできるのは大きいのかもしれない。
ぴかぴか芝居塾の卒業公演も、かなり短期間でまとめてしまって、 稽古らしい稽古はそれほどなかった。
そのときの卒業公演と比べれば、芝居の台詞や動きについての学び が多く、少しは演劇らしい演劇をしているのではないだろうか?
「この程度を演劇と言って欲しくない」と憤慨する人もいるかもし れない。
私ももう少し何かできるような気がしてならない。
しかし、少しでも良い芝居をしたい、良い演劇にしたいと足掻ける だけ幸せなのかもしれない。
一先ず、16日まで走り切る。
その時の私の最高出力を出す。
高い空、流れる黄金の稲を横目に、残り数日を生きる。
道を走るその脇の田んぼが黄金に波打っている、10月8日より。