ネガティブ方向にポジティブ!

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【在り来たりな物語】~橋の下。(夕方)~

8番目。

 

8、橋の下。(夕方)

 

ウサギ  トゲさん、もう少し!モクタンさん、頑張って!

 

 一行は眼前にまで来た橋に向かって全速力で進んでいた。

 ウサギ、 塗装が剥がれた所が鈍く光る手すりを見据えて2体に声かけする。

 トゲ、ウサギを振り落とさないように気を配りつつ足を前へ前へと運ぶ。

 モクタン、そのトゲの後を葉っぱを抱えながらヒーヒー言いながら付いていく。

 空はもう黒い雲が押し潰さんばかりに広がっている。

 と、ポツリと弾ける音がした。雨が降り出したのだ。

 

ウサギ  あと少し!あと少しで橋!

 

 ウサギ、祈るような気持ちで言い続ける。

 と、今その橋の前まで辿り着く。

 トゲ、素早く橋の下に潜り込む。

 モクタン、その後を付いていく。

 橋の下は鉄骨で出来ていてコンクリートで出来た基礎の上に植え付けられている。

 一行は橋の中程辺りまで来てようやく息を落ち着かせた。

 トゲ、ウサギを降ろすと腹から出すように笑った。

 

トゲ  ハハハハハ…あー、久しぶりにめっちゃ走ったな

 

ウサギ  そうね、トゲさん大丈夫?

 

トゲ  んん?何が?俺は大丈夫だ。それよかあっちを心配してくれ

 

 トゲ、顔をウサギの後ろに向ける。

 モクタン、一言も喋れずに、それでも雨除けの葉っぱを握りしめながら倒れ込んでいる。

 

ウサギ  ……うん、ゴメンね?

 

トゲ  ハハッ!何謝ってるんだよ?……早よ行きな

 

 ウサギ、トゲにもう一度ゴメンねと言ってモクタンの所へ。

 モクタン、ウサギが来たことに気付くと何か言おうとしていたが、ウサギが首を振ったのを見て黙り込む。

 トゲ、頭をかきつつ、ふらりとその場を離れる。