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hの4(映画「呪術廻戦0」感想)

4月11日、映画「呪術廻戦0」を鑑賞した。

その感想を書く。

ネタバレ含むので、ご注意を。

 

 

呪術廻戦0は漫画が先にあり、私は漫画を読んでいる。

つまり、ストーリー展開は最初から最後まで分かり切っている。

物語の意外性はない。

 

一言で感想をまとめると、手堅く作った映画だな、である。

無難な映画だという印象である。

大方の想像通りに漫画を尊重した物語の進行であった。

 

物語はほぼ同じなので、期待するとしたら、アニメーションによる動き、キャラクターデザイン、声優さんたちの演技、音楽、 映画ならではの演出だろうか。

しかし、その点でいうと、不満である。

私の好みではない、と言った方が正確かもしれない。

 

アニメーションの動き、特に戦闘シーンはド派手なのを期待していた。

少年漫画の花である戦闘シーンをアニメーションでどう魅せるか、が楽しみであった。

具体的な作品名で言えば、「サムライ7」、「サムライチャンプルー」のような動きを期待していた。

 

しかし、どうも、違うように私は感じた。

乙骨と真希さんの稽古シーンが顕著な例で、妙にキャラクターがくるくる回っているだけで、戦っている感が薄いような気がする。

カメラがキャラクターの周りを動き回るような映像ではなく、カメラはある程度固定で、キャラクターが謎の動きをしていて、アニメーションの良さを殺している気がしてならない。

 

漫画だと数コマのシーンだから、映像にする時に遊びで作れる部分が多かったハズなので、ただ、くるくる回るだけだと勿体ないというか、何で回っているんだ?と感じてしまう。

「もののけ姫」の戦闘シーンは地味なのもあるが、アニメーション的、または映画的な魅せ方をしているから見ていて楽しい。

映像として動きがシンプル過ぎて、私としては肩すかしであった。

 

それでも、終盤の夏油さん襲撃からの戦闘シーンは良かった。

できれば、もう少し、丁寧に動きを描写してもらいたかったが、アニメーション的な早さでスピード感を出していたのは良かった。

映画的にもここが魅せたかったんだろうな、と感じるくらいにはコストをかけていたのではないか。

 

キャラクターデザインは、全体的に3割増しでイケメンになっているように見えた。

漫画の線の雑味、丸みがなく、線がシンプルでシュッとしている。

瞳の描き方も力を入れているのか、すごくキラキラしている。

 

その上で、私は折本理香のデザインが違う気がする。

全体的に大人っぽ過ぎるのだ。

もっと幼い感じがあった方が原作イメージに近いと感じるのだが、これは私の漫画からのイメージなので、私の好みも入っているかも しれない。

 

呪霊のデザインは、結果的に違う気がする。

漫画だと、インクの滲みなどから不気味さがある呪霊だが、鮮やかな色彩に柔らかいタッチで、いっそ可愛く見える。

原作通りの呪霊のデザインだが、ゆるキャラのような可愛さがあって、不気味さがなくなったのはどうなのだろうか?

 

声優さんたちの演技は、全体を通せば、良かった。

パンダの声が想像より低くて、驚いたが、慣れれば普通に聞けるから慣れとは面白い。

真希さんの声はイメージ通りだったので、その点は満足でもある。

 

ただ、五条さんが全体的にイケメン、シリアスなシーンが多くて、残念だった。

脚本上の展開でそういう演技になったのかもしれないが、個人的にはシリアスなシーンでもどこかおちゃらけた、良い意味で力みのな い五条さんが見たかった。

おちゃらけ五条さんは乙骨の出自を言う時にデフォルトも加えてあったけれど、全体を通せば足りない。

 

音楽の選曲も、好みではなかった。

全体的に、暗くて静かな曲だった。

高揚感のある楽曲がなかったような印象で、音楽としても単調だっ た。

 

映画ならではの演出も好きではない部分があった。

冒頭、乙骨の朝の登校前のシーンを淡々と音楽と共に流す、という映画的演出があったが、長い。

長くても良いが、折角のアニメーションであの鬱々とした入り方は微妙だ。

 

原作通りに作っているから、漫画ファンとしてなら「キャラクターが動いてる」だけでも評価はできる。

しかし、映画監督のエゴがもう少しあっても良かった。

大スクリーンで見るのに、小さくまとまり過ぎて詰まらない。

 

良かった点もある。

漫画本編で描かれた五条さんと夏油さんの青春時代の思い出、葛藤、決別を「呪術廻戦0」の物語の進行コードに乗せながら、画のみ の回想シーンで入れているのが上手かった。

漫画を読んでいる人なら感情移入しやすいし、漫画を読んでいない人も過去の様子を伺える良演出だ。

 

学長の「総力戦だ」の台詞回し、漫画だと、同じ台詞を夏油がそのまま言って、「とか息巻いてんだろうな」と続くのだが、 映画だと同じ台詞を言うシーンはがっつり削って、「とか息巻いてんだろうな」に繋いでいるのは良い。

百鬼夜行で、漫画で活躍する瞑瞑、七海さん、猪野、日下部、京都校の面々の戦闘シーンもちょろっと入っているのは呪術廻戦ファン なら喜ぶだろう。

「呪術廻戦0」だとそれほどないパンダの戦闘シーンがしっかりと描かれているのは良かった。

 

映画としては、可もなく不可もなく、原作の物語を補強する演出程度に留めている。
手堅く、無難に作った映画、総じるとそういう評価になる。
私としては物足りなかったが、単純に好みの問題だろう。

 

以上が私の所感だ。