Twitterのタイムラインに面白いお題が流れてきた。
以下、出題である。
「AがBに何度も告白して振られる憎めない小悪党の二人組」が「最終回で黒幕に殺される」場合、AとB、どちらを殺した方が美しいのか?
シチュエーションが面白いな、と感じてたので私なりに考えた。
単に書かれている条件のみで物語を考えるならば、「A」だ。
Aは告白する。
Bは振る。
上記の振りを何度も繰り返すことで、二人の関係性を示している。
この関係性においてAが殺された時に、Bは隠していた(または気付いてなかった)気持ちの発露が出るはずだ。
長い前振りからのカタルシスを狙うなら、Aが死んだ方が面白くなる。
しかし、「美しい」という条件が付与されると話が変わる。
美しいと感じるように見せる、演出の類いの気がするからだ。
例えば、「B」が殺されたとして、それを美しくするには、AとBの過去回想シーンがあると良い。
AがBを好きになる事柄、事件がしっかりと過去回想すると感情移入し易くする。
そして、Bが殺された瞬間にAが二人の過去を再び回想すれば、より悲劇的で美しくなる。
Aの生い立ちが分かると奥行きが出る。
壮絶な過去のAの心を救ったBとか。
平凡で退屈な毎日だったAを刺激的な冒険に連れ出したBとか。
BがAに「私を惚れさせてみろ!」というゲームから始まったとか。
更に死ぬ間際で彩りが出せる。
Bの死ぬ間際に過去回想して台詞なりアイテムなりが出ると良い。
「…約束、破ってごめん?」とか。
ポケットからAから貰った花を押し花にした栞がぽろっと出たりとか。
Aの心にブッ刺したい、美しいから!
Bの台詞が端的でも良い。
笑顔で「…ばーか」だけ言ってぱたり、とか。
この時はAの顔がぐしゃぐしゃだと良い。
最後に言う名前が主人公の名前とか。
最後に言うのが寄り添ったAじゃなくて、敵対してた相手を知る、残酷で美しい。
殺され方でも変わる。
黒幕のいる所に駆け付けた時にバッサリ殺される瞬間を見てしまう。
駆け付けた時に息も絶え絶えぐらいだと、AとBのやりとりが欲しくなるけど、最終回だからタルくなるからバッサリ切らざる得ない。
間に合わなかった、が良い。
Aを殺そうとする黒幕の間に入って殺されるBとか美しい。
逆にBを殺そうとして庇って殺されるAでも美しい。
殺された直後は殺された方はスローモーションで、倒れる様を見ている表情と黒幕との対比で見せたい。
最終回という縛りなら、Bが殺されて死に間際に主人公の名前をぽつり、茫然自失のAだが、黒幕に立ち向かう主人公一向を見て、「Bが好きだった人」を助けるために立ち上がる、が美しいのではなかろうか!?
いや、最終回一歩手前の方がAの喪失感を表現できる…?
いや、一歩手前ならBも同じか?
いずれにしても、如何に前振りをしっかりとしているかでAとBの美しさの表現が変わる。
これが最終回だけ出る小悪党だったら、感情移入できない。
最終回のみの登場ならその他複数人と共に黒幕に一斉に殺されて、主人公覚醒の方がスッキリして面白い。
物語をどう構築、演出するか、で答えが変わるから、どっちが正解とは言い難い。
しかし、最終回でスッキリ収めることを念頭に入れるならば、やはり分かり易い方が良い。
ならば、Aが殺されてBがキレる流れが、物語の展開や収束としても美しい。
よって出題通りのオーダーであるならば、「AとB、どちらが殺された方が美しいか」の答えは、「A」である。
良い結論ではなかろうか?、と自画自賛する。
こういう風に考えるのは実に楽しいものだ。