ネガティブ方向にポジティブ!

このブログは詰まらないことを延々と書いているブログです。

880(進めども進めども)

進めども進めども進む道は途絶え、這い蹲って這い蹲って永々土は続いているのが朧げに見え、また進みよろよろと進み道を探して、疲れ果て気を失って幾許かの無常を横滑りして、急き立てられるように起き、また進み、進み、進んで行く。

 

進めども進めども進む道は途切れ、転げ回って転げ回って永々光の筋が微かに見え、また進みよろよろと進み道を探して、疲れ果て気を失って幾許かの不条理と共に横になり、喚き散らかすように起き、また進み、進み、進んで行く。

 

終わり無き道を終わらせるのは簡単で、深く深く目を閉じて、耳に聞こえる音を聞かず、鼻を掠める匂いを嗅がず、口を一文字に結び、ただひたすらにじっとして、じっとするのにも疲れ果て、気を失って、次に目を覚ましたら、道はもう見えなくなっていることだろう。

 

ただじっとしていることは容易くて、今にも、深く深く目を閉じて、耳に聞こえる音を聞かず、鼻を掠める匂いを嗅がず、口を一文字に結び、ただ、ただひたすらにじっとするのは、きっと這い蹲っているよりも、転げ回っているよりも、ずっと優しいことだろう。

 

だが、そうした安易な方法を選ばない、選べない、選ぶことを混乱する身体は許しはせず、全身の隅々まで私の心臓は毒を巡らせ、これでもかと目を見開き、些細な音さえ聞き漏らさず、僅かな匂いさえ嗅ぎ漏らさず、口を開いて舌の味蕾で味わおうとし、肌に感じるすべてを余すところなく感じ取ろうとして、また身体は混乱の度合いを増していく。

 

そうした生き方を殊更に誰かに言い立てるつもりはなく、ただ、器用に生きる人々がどうしてそんなに器用に生きられるのか不思議で、同時に、どうして自分はこんなにも不器用なのかと自問自答して、その自問自答がこうした生き方になってしまうという自身の頑固さも不思議に感じる。

 

今日もどくどくと心臓が早鐘のように鳴り、全身に毒を巡らせ、私の顔を上げさせ、足を前へ前へとと、手をぶらぶらと振らせ、また進みよろよろと進み道を探して、進めども進めども止まれずにいる、道化か阿呆かはたまた人生の奴隷か、答えも知らずに道を求め、さすらい歩くのだ。

 

目を開ける、今日も起きてしまった、進まねば。

854(ぬあさ)

ぬあさ。

須く、ぬあさ。

渡りに、ぬあさ。

泣きっ面に、ぬあさ。

 

ふっと湧き出て、散り散りになり、世界を埋め尽くす。

あっちを見ても、ぬあさ。

そっちを見ても、ぬあさ。

何処を見渡しても、そこら中にぬあさがある。

 

聞こえてくる音も、同様に、世界を蹂躙していく。

近くで聞いても、ぬあさ。

遠くで聞こえる音も、ぬあさ。

耳を澄ませば、そこかしこにぬあさがある。

 

意味はない、ぬあさに意味など無い。

もしあったとしても、それはぬあさでしかない。

ぬあさという言葉が生まれた時点で、それはぬあさでしかないのだ。

 

私はぬあさだ。

須く、ぬあさだ。

髪の毛の1本1本から、手足の指先の隅々まで、ぬあさだ。

あの船も、あの蜂も、私も、ぬあさなのだ。

 

そして、あなたもぬあさだ。

さあ、ぬあさに祝福を!


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834(あめゆじの祈り)

あめゆじゅとてちてけんじゃ。

雪はまだ降らない。

あめゆじゅとてちてけんじゃ。

冬まではまだ遠い。

あめゆじゅとてちてけんじゃ。

祈りまで至らない。

あめゆじゅとてちてけんじゃ。

私は俗世にまみれ過ぎた。

 

しかし。

雪はいつかは降る。

冬もいつかは来る。

祈りもいつかは聞こえいる。

「いつか」はいつかは天のみぞ知る。

 

あめつちとてちてけんじゃ。

誰も歩かない雪原を幻視して、「いつか」を待つ。

808(ドのつく詩)

童顔のどら息子、ドーランを塗りたくって。

同姓同名の道化、瞳孔が開きっ放し。

動揺してもどうしようもなく、獰猛なトラに食い殺される。

土曜日は遠くって、都々逸のリズムでドラムを叩く。

ドントコドン、ドントコドン、ドドンドドン、ドントコドン。

ドがつくくらいの道楽者さ、どうせどうにもできやしない。

童顔のどら息子、道化になって独歩する。

459(『秋晴れ』)

秋晴れ

傾げつつ

再度

躊躇う

成れの果て

 

始めて

目の当たり

やっぱり

落胆

分け隔て

 

意識すれば

際立って

し直した

地平線

にもかかわらず

 

紐解いて

見直し

理屈

を拾う

 

紆余曲折

繰り返し

するほど

塗り替え

 

複数

無数

指先

坩堝だね

 

選ぶ

限界

せめて

手招き

ねえ?

 

平行

メビウスの輪

例は、幾つもない

 

お星さま

今晩は

それでは

どうか

望んでください

 

骨と

網膜

ようこそ

朗々と語ろう

 

秋晴れ

傾げつつ

再度

躊躇う

成れの果てかな