ハムレットからの手紙を読む、または現れる
天使のごときわが魂の偶像、美しきものなるオフィーリアへ……
その白妙のみ胸にこの文を
星の燃ゆるを疑おうとも、
太陽の動くを疑おうとも、
真実のまことなるを疑おうとも、
わが愛を疑うことなかれ。
おお、オフィーリア、私は詩を作るのが苦手だ、
胸の悩みを行分けして書きあらわすなんてできっこない。
だが、私はおまえを愛している、だれよりも、なによりも、
それだけは信じてくれ。
さようなら。
このからだが自分のものであるかぎり、いとしきオフィーリアよ、
永遠におまえのものであるハムレットより
2、オフィーリア 序章
「忘れるとでもお思い?」
「それだけかしら?」
「いまのおさとし、大事にしまっておいて心の見張り役にします。
「この胸にしっかり錠をおろし、
「
「どう考えたらいいのかわかりません、お父様。」
「でも、お父様、愛を打ちあけるときのハムレット様は、
何かの音
「おことばの一つ一つに、ありとあらゆる誓いのことばをそえて、
「お言いつけに従います、お父様。」
3、オフィーリア お父様
「お父様、お父様、とっても恐ろしいことが。」
「いまお部屋で縫い物をしておりますと、ハムレット様が。
「私の手首をぎゅっと握りしめ、
「いえ、ただ、お父様のお言いつけどおり、お手紙をお返しして、
4、オフィーリア ハムレット様
「ハムレット様、このごろいかがお過ごしでございましょう?」
「ハムレット様、いただいた贈り物をここに、
「ま、おぼえがないなどと、そんなはずは。
「え?」
「なぜそのような?」
「美しさには貞淑こそもっとも似つかわしいのでは?」
「そのように、ハムレット様、信じさせてくださいました。」
「とすれば私の思いちがいはいっそうみじめなものに。」
何かの音
「あのかたをお救いくださいまし、神様!」
「神様、どうかあのかたをもとのお姿に!」
「ああ、あれほど気高いお心が、このように無惨に! 貴人の、武人の、文人の、そのまなざし、ことば、剣さばき、
5、オフィーリア 解放
「どこなの、デンマークの美しいお妃様は?」
歌を歌う
「え? だめよ、黙って聞いてくださらないと。」
歌を歌う
「お願いだから聞いていて。」
歌を歌う
「元気よ、おかげさまで。フクロウは昔、
「お願い、そのことはもうおっしゃらないで。でも、
歌を歌う
「さ、もう誓いのことばなしに終わりましょうね。」
歌を歌う
「なにもかもきっとうまくいきますわ。
水のなかに沈んでゆく
了