ネガティブ方向にポジティブ!

このブログは詰まらないことを延々と書いているブログです。

【星の輝きが瞬く合間に】

習作の戯曲。

文字数7500文字超えです。

エピソード0的な話しで気が向けば展開させてみたい、何時になるかは知らないが。

割りと気に入っている。

 

 

【星の輝きが瞬く合間に】

 

・登場人物

 六条 透(ろくじょう とおる)

 三石 清涼(さんごく しょうりょう)

 看守

 ガーネット

 その他大勢(一~七)

 

1、映し出される噂。

 

 テレビの、ゴシック雑誌の、向こう側、インタビューを受けるその他大

勢。

 その声の一部。

 

一  いつかやると思っていました! はい、もう、ぜっったいにやると思ってました!

 

二  あー、もの静かで真面目でしたよ? ええ、優等生でした。でも、何て言うか、何を考えているのか、全く分からない。友達、いなかったんじゃないですか? 知りませんけど

 

三  ちょっと、迷惑なんですけど……え? あー、あの子? 碌にあいさつもしない無愛想な子でしたよ? 親御さんはまともなのにねー? こっちを見ようともしない。いっつもどこか上の空で。何考えてるんだが……もう、良いですか?

 

四  気味の悪い奴ですよ。正直、お近づきにはなりたくありませんね

 

五  いつだったか、朝、歩いてますと、あの人が立ち止まっていて、道をジッと見ているのを見かけまして。何をそんな見ているんだろうと、視線の 先を辿ると、猫のね、死体があって。まあ、可哀想だなーとは私もね? 思 いましたけどね? 仕事があったので、ええ、通り過ぎたんです。その日の夕方、まだ立ってたんですよ、ジッと、猫の死体を見てたんです。多分、 ずっと立っていたんじゃないですか? 朝からですよ? 半日もずっと立っ てたって、異常でしょう?

 

六  いや、何かの障がいがあった訳ではなかったようですよ? 発達障がいですか? そういう類いではなかった。知的にも問題なかった。ええ、そう聞いてますし、そうだと思います。まあ、変わり者ですよ

 

七  悪い人ではないと思います。悪い人では。私はそう思います。悪い人ではない。ただ、そうですね。言葉で説明するのは、ちょっと難しいですね……

 

一、二、三、四、五、六、七  会えば分かりますよ

 

 その他大勢は、それぞれの日常へ、散り散りに。

 

2、面会室。

 

 三石清涼(以下、三石)、椅子に腰掛けて、待つ。

 看守、扉を開けて入って来る。

 三石、立ち上がって出迎える。

 

看守  お待たせしました

 

三石  あ、いえ


看守  六条透、入りなさい


 看守、入るように促す。

 六条透(以下、六条)、入り、ジッと立つ。

 看守、扉を閉める。

 

看守  三石さん、どうぞ、お座りください

 

三石  あ、はい、失礼します

 

 看守、隅の椅子に座り、面会記録帳を開き、記録を始める。

 

三石  ……えっと、六条さん?


 六条、部屋の隅をジッと見る。

 

三石  あのー、六条さん?どうぞ、あなたも座ってください


 六条、反応がない。


三石  六条さん? あの、聞こえてますか? もしもーし? あの、座っ て、座って頂けません?


 六条、やおら三石を一瞥する。


三石  あ、私、国選特別捜査官の三石清涼です。清らかに涼しいで「しょ うりょう」です。よく「せいりょう」と間違われますけど、「しょうりょ う」です、はい……で、えっと、それで、今回は、六条さんに聞き取り調査 をするためにお伺いしました。ガーネットについて

 

六条  ガーネット


三石  あ! はい! その、ガーネットについて、六条さんの言い分をお聞きしたいのですけど……


六条  ガーネットは、良い子だよ


三石  ん? あ、いや、ガーネットの特性についてではなくてですね? 私が聞きたいのは、どうして、ガーネットを施設から逃がしたのか、という点でございまして


六条  外に出たがっていたから


三石  あー、成る程? ガーネットは外に、出たがっていた、と……えっと、もう少し、詳細に教えて頂けません?


 六条、部屋の隅をジッと見る。

 

三石  六条さん?あのー……ろくじょーさーーん?


 六条、椅子に座る。


三石  あ、では、まず、そうですね、六条さん、確認をしますね? (書類を出す)えっと、ですねー……まず、氏名、六条透、年齢、33歳、職業、 日本特殊自然現象災害対策研究所研究員補佐、超自然的半有機知的生命体、 通称ガーネットの維持管理担当者、ですね? 罪状、内乱罪。今、あなたは国から訴えられている。そうですね?


 六条、部屋の隅をジッと見ている。

 

三石  ……あなたは2020年2月21日7時50分に同施設に出社して、同日8時15分にガーネットがいるゲージエリアに行った。そこで同僚である大麦翠、当時20歳を背後から後頭部をガラス瓶で殴り、昏倒させ、タオルで口、 手足を縛り、その場に放置した。その後、予め偽造したIDカードで管理室に侵入、警報装置とガーネットのゲージロックを解除、同日9時10分、ガー ネットを施設外に持ち出し、同日11時頃、山梨県の青木ヶ原樹海にガーネッ トを遺棄した疑いがある、間違いないですね?


 六条、欠伸をする。


三石  六条さん? 間違いないですか?


六条  ガーネットは、何だ?


三石  はい?


六条  清涼さん、ガーネットは何だ?


三石  ……何だ、というと?


六条  清涼さんは、ガーネットを「超自然的半有機知的生命体」と言ったが、それは何だ?


三石  それは、えっと、科学の範疇において、今現在判明している事柄を 検証した結果、えー、我々人類とは違う、けれど高度な知的活動を有する、存在? でしょうか?


六条  質問を変える。ガーネットは生き物か?

 

三石  生命体、生命活動は、そのー、確認されてますよね? だから、生き物、じゃあないですか?

 

六条  ガーネットは人間と、この地球上の動物と同じ生き物、そうだな?

 

三石  いや、それは、分かりません。今まで人間の言語を解し、意思疎通ができるけれど、人間、いや、動物とは組成されている物が違い過ぎて、地球外生命体というか? 同じと言い切れないんじゃあ……

 

 六条、笑う。


三石  えっと、六条さん?


六条  地球外生命体? 何だ、清涼さんは宇宙人が地球に来ていると信じているのかい?


三石  えっと、六条さんは、宇宙人はいないと?

 

六条  宇宙人はいるよ。高度な知的活動をする生き物が現にこの地球にいるんだ。宇宙のどこかにいるさ。清涼さんは宇宙の広さをなめているよ

 

三石  ん? じゃあ宇宙人が地球に来ても不思議はないのでは?

 

六条  地球からわずか100万光年の間に高度な知的活動ができる星が見付かってないんだよ? 宇宙人がいたとしても、遠過ぎて認識できない、清涼さんは宇宙の広さをなめている

 

三石  確かに。いや、だから、それが何だって言うんです?

 

六条  ガーネットは地球で生まれた、地球の生き物だ

 

三石  あー、まあ、それは、はい、地球外生命体、は違うってのは、分かりました。じゃあUMAですかね?

 

六条  19世紀、フランス系アメリカ人で探検家のポール・デュ・シャイユ に目撃されたUMAがいるのだけど、何だか分かるかい?

 

三石  え、ビックフット、とかですか?

 

六条  ゴリラだよ、現地の人間には知られていたみたいだけど、ポールがアメリカにゴリラの死骸を持ち帰ってから存在が証明されるまで、ゴリラはUMAだったのさ

 

三石  へえ、そうなんですね

 

六条  パンダやコモドオオトカゲ、日本だとイリオモテヤマネコもUMAだった

 

三石  成る程、博識ですね

 

六条  ガーネットは、存在をすでに証明されている

 

三石  あ、はい

 

六条  なら、UMA、未確認生物ではないね?

 

三石  そう、ですね、はい

 

六条  では、ガーネットは何だ?

 

三石  ……何でしょう?

 

六条  ガーネットは、人間だ

 

三石  いや、ちょ、それは、流石に、え、いやいや、何言ってるんです?

 

六条  長期に渡り監禁し、過酷な実験を強制されていた。ガーネットの人権侵害は火を見るより明らかだった

 

三石  いやいや、だから、ガーネットは人間ではないですよ

 

六条  確かにガーネットは人間とは組成されているものが違うが、もし も、今現在人間とされている生き物のDNAがたんぱく質以外で構成されているとしたら?

 

三石  えっと、いや、人間のDNAはタンパク質以外の物質で構成されているという仮定は、えー、根本から間違いではないですかね?

 

六条  ガーネットがそうじゃない証拠は? タンパク質以外で構成された人間、それがガーネットだよ

 

三石  いやいやいや、暴論ですよ。ガーネットは、えっと、超自然的半有機知的生命体、であって、人間とは、違いますよ

 

六条  だが、涙がダイヤモンドとして出る少女や身体からキノコが生える人間もいる

 

三石  そんなごくまれな例を出されても?

 

六条  ガーネットはごくまれな人間だとしたら?

 

三石  ガーネットはまるごと、頭からつま先まで、全部、違うじゃないですか

 

六条  何万年か後、人間のDNA情報がタンパク質以外に変化しない保証は誰にもできない

 

三石  変わりませんって。現に、私たちが変わっていないじゃないですか?

 

六条  ガーネットがその何万年後の姿としたら?

 

三石  みんな、ガーネットみたいになると? いやー、どう考えても、それは無理がありますって

 

六条  無理? ガーネットのように人間は進化しないと? 人間自身が今の人間のままであることを望むことは有り得ないに決まっている

 

三石  え、私は今のままで良いですけど……すごい主観で決め付けますね?

 

六条  ガーネットは、人間が望んだ姿だ

 

三石  私は、そうは思えません。だって、あれでは、人間が構築した社会で生きていくのは、ちょっと、難しいですよ、ええ

 

看守  三石さん、そろそろ

 

三石  え! もう? ちょ、全然、何も、聞き出せてないんですけど!

 

 六条、立ち上がる。

 

三石  これでは、何もできない、上にかけあって、時間延長を依頼しないと……

 

看守  三石さん?

 

三石  あ、はい、出ます! また、来ますからね?

 

 六条、部屋の隅をジッと見る。

 看守、面会記録帳を閉じ、扉を開ける。

 

看守  六条透、出なさい

 

 六条、扉から出る。

 看守、三石に一礼して、扉を閉める。

 三石、立ち上がって、部屋を出る。

 

3、森の奥にある廃墟。

 

 ガーネットの影が壁に大きく映る。

 鉱物の割れたような音が断続的に聞こえる。

 遠くで誰かの祈りが聞こえた、気がした。

 

4、面会室。

 三石、入室して椅子に腰掛け、待つ。

 看守、扉を開けて入って来る。

 三石、立ち上がって出迎える。

 

看守  お待たせしました

 

三石  はい

 

看守  六条透、入りなさい

 

 看守、入るように促す。

 六条、入り、椅子に座る。

 看守、扉を閉める。

 三石、椅子に座る。

 看守、隅の椅子に座り、面会記録帳を開き、記録を始める。

 

三石  六条さん、昨日の続きです。あなたは傷害、窃盗、危険物遺棄の罪に問われている、間違いありませんね?

 

六条  危険とは。未来において、損害や損失が発生する可能性があること、最悪の場合は、そのものの存続が困難になること。法律に記載ある危険は、経済、産業、建築物、交通、医療、災害、物品等の取り扱い、反社会的行為に分類される。


三石  えっと、はい?


六条  ガーネットの何が危険だと?

 

三石  それは……ガーネットが暴走したら、街一つ消えて無くなる危険があります


六条  ガーネットが、未来において暴走すると?


三石  その可能性はあります


六条  有り得ない


三石  どうしてです?


六条  ガーネットは優しいから。人間を傷付けたりしない

 

三石  それは、ガーネットの維持管理担当者としての見解ですか?

 

六条  そうだ

 

三石  しかし、ガーネット、超自然的半有機知的生命体の放射実験データでは、えー……(書類からデータを出す)推定1メガトンのエネルギー放出が確認されてます

 

六条  ソビエト連邦が開発した水素爆弾「ツァーリ・ボンバ」の100分の1じゃないか。大したことないな

 

三石  そんな高威力の放射ができる怪物がうろついているんですよ、十分に我々を脅かしてます

 

六条  ガーネットは人間だ

 

三石  いいえ、ガーネットは、ガーネットは兵器です

 

六条  狭い了見だね? 私の知る限り、世間ではガーネットは人類だとする見方が一般的だ

 

三石  いやいや、どこの世間ですか? 私、聞いたこともないですけど?

 

六条  ガーネットは人間なのは明白だよ

 

三石  データはあるんですか? 無いでしょ? ガーネットが人間と主張するの六条さんだけでしょ? ガーネットは兵器です

 

六条  それは、ガーネットが兵器とした方が都合が良い日本政府の陰謀さ

 

三石  陰謀って……このデータは日本特殊自然現象災害対策研究所、あなたの働いていた研究所の提出された物ですよ? 六条さんも目を通したはずです

 

六条  陰謀に違いないよ。あーところで、一つの骨が化石化する確率は知っているか?

 

三石  へ? 骨? 急に、何です?

 

六条  およそ10億分の1だ。これまで地球上に存在した全生物のうち、化石になっている生物種の割合は0.1%以下だ。人間の骨は比較的大きく、骨も硬いことからムカデやゴカイに比べたら化石化する望みはあるが、発見される可能性は低い

 

三石  ……えっと、それが何なんです?

 

 六条、笑う

 

三石  無関係な話はしないでくださいっ!

 

六条  何をムキになっている? 化石にでも恨みでもあるのか?

 

三石  六条さんがわた、私の話を聞かないからでしょっ! ちゃんと答えてくださいよぉ!

 

六条  君の呼び立てにこうやって付き合っているじゃないか?

 

三石  私は! 私は、仕事でここに来ています

 

六条  仕事? これが?

 

三石  そうです、六条さんへの質疑が私の仕事です

 

六条  やれやれ。君は仕事というものを分かっていない。そも、ガーネットが危険なんて言えるのは、社会に出てない証拠。現実を見なよ?

 

三石  現実から目を逸らしているのは、六条さん、あなたではありません?

 

六条  いいや、私は誰よりも現実を見ているよ。例えば

 

三石  はい?

 

六条  ガーネットが超自然的半有機知的生命体、人間ではない、と仮定して

 

三石  んえ? えっと……はい

 

六条  人間でないものが泣くかね?

 

三石  え? それは、ガーネットの目から涙が出た、ということ、ですよね? でも、それは涙のようなもので、単に反射反応ではないですか?

 

六条  君は泣いたことは?

 

三石  それはありますけど……

 

六条  清涼さんは人間?

 

三石  はい……

 

六条  三石清涼は泣く。三石清涼は人間。人間は泣く。ガーネットは泣く。論理的に考えれば、ガーネットは人間、だろう?

 

三石  それは詭弁です、詭弁ですよ。泣ければ人間であるなんて、そんな乱暴な論理がありますか

 

六条  六条透は泣いた記憶がない

 

三石  んん? え? 泣いたことが、ない?

 

六条  ない。物心ついた頃まで遡っても、泣いたことがない

 

三石  はあ、そう、なんですね?

 

六条  人間として必要な機微が六条透に無い。涙は人間足らしめる要素だ。ガーネットは泣けるのだから、人間に必要な機微を備えている。つまり、ガーネットは人間だ

 

三石  だから、その結び付けは乱暴ですって! それに。六条さんは人間です。私から見て、見たままに、人間です

 

六条  殴られた

 

三石  はい?

 

六条  アクセスできるエリア範囲の拡大を提案したら殴られた。インテリにあるまじき行為だよ、暴力で捩じ伏せるなんて、全く。偉大なアウストラロピテクスの二足歩行の瞬間が人類の進化のピークかもしれないね?

 

三石  ……

 

六条  ガーネットは泣いた、六条透のために、六条透の殴られた頬を撫でながら。なあ、清涼さん。超自然的半有機知的生命体とは、ガーネットとは、一体何だ?

 

三石  そ、それは……

 

 六条、ゆっくりと立ち上がり隅をジッと見る。

 

看守  三石さん

 

三石  六条さん、いくら言葉を並べ立てても、あなたのしたことは罪です

 

 六条、黙って隅をジッと見る。

 

三石  また、来ます

 

 三石、立ち上がって、部屋を出る。

 看守、三石に一礼して見送る。

 六条、部屋の隅をジッと見る。

 看守、面会記録帳を閉じて、扉を開ける。

 

六条  ガーネットは、人間だ

 

看守  六条透、出なさい

 

 六条、扉から出る。

 看守、扉を閉める。

 

5、研究所付近。

 

 ガーネットの影が研究所の壁に映る。

 微かに歌っているような声が聞こえる。

 

6、独房。

 

 六条、小さな窓の外をジッと見ている。

 

六条  人類が魚になれば万事解決だ。いつまでも人間がほ乳類だなんて過去の概念にしがみつく旧人類はイタいね。ところで、人間がどうやったら人間の条件を満たすんだ? ガーネットが高放射を維持し続けるという論はすでに何年も前に論破されていることなのだがね? ガーネットが人間と認めない限り人類の進歩はない。六条透が人間としての条件を満たしているのか、泣けない人間が人類と断言するのは不可能だ。ガーネットは超自然的半有機知的生命体と定義したのは研究員だ。しかしだからといって、ガーネッ トが人類とって、有害、とするのは早計ではないか。現在問題なのは人類が魚になることで、ガーネットが危険かどうかは問題ではない。話を逸らす な。室長程度の権威でガーネットについて議論する資格は無い。まともな、まともな人間の意見が聞きたい。どうしてガーネットが兵器だと考えた? 論拠を出してくれよ。なあ? なあ!

 

 六条、暗く笑う。

 耳をつんざくようなアラーム音が鳴り響く。

 

六条  ……まさか

 

 看守、独房を開ける。

 

看守  六条透、で、出ろ!

 

六条  何故? 面会の時間じゃないはずだろ?

 

看守  い、い、良いから来いっ!

 

 看守、六条を半ば強引に連れ出す。

 

六条  なに顔を真っ赤にしているんだ? ガーネットだろ? 室長の指示か? 六条透を盾にすれば捕獲できるとでも? ガーネットは人間だよ?  魂を悪魔に売った獣が勝てるわけないだろ?

 

看守  うっるさい! 黙れ!

 

六条  あー、ストップ。来るぞ

 

看守  へ?

 

 強烈な光。

 壁が崩壊する。

 ガーネット、壁の向こう側から現れる。

 壁の向こう側には四方八方に逃げ惑う人々(一~七)。

 看守、腰を抜かしながらも必死にその場から離れようとする。

 

六条  ……ガーネット

 

 六条、無表情でジッと立つ。

 ガーネット、微笑む。

 

六条  ……ばか

 

 ガーネット、手を差し伸ばす。

 六条、溜息を吐く。

 

六条  ……お手柔らかに?

 

 ガーネット、咆哮する。

 それは星の輝きが瞬く合間の出来事だった。

 

7、映し出される三石清涼。

 

三石  六条透、さあ、何考えているんだか……ちょっと、いや、かなり、相当、イカレてましたけど! ……いや、本当、まともな会話をしたかったなぁ……今頃、何してるんだか……んえ? 他? 他と言われても、形容し難いと言いますか……あー、そうだ。ガーネットは人間だと思います? 人間じゃない? あー分かります分かります。そうですよねー、世間一般では。でも、まあ、もしかしたら、ガーネットは人間、かもしれませんよ?  むふふ……さてさて、私もその他大勢に戻りますかね? ……何か知ってるだろ? いいえ、ホント、私は無知ですよ。まあ、でも、六条透という人は……

 

 三石、一つ溜息を吐く。

 

三石  会えば分かりますよ?

 

 三石、日常に戻る。

 鉱物の割れたような音が断続的に聞こえる。

 遠くで誰かの祈りと笑い声が聞こえた、気がした。