ネガティブ方向にポジティブ!

このブログは詰まらないことを延々と書いているブログです。

素人が小説家気取り-あなたが眠るまで。

【あなたが眠るまで。】終わり

7.そして、日は昇りゆく 目を覚ましたら、僕は暗い場所にいた。 どうやら寝てしまっていたらしい。 上体を起こし、軽く目を揉んだ。 そして、身体を伸ばして、考えた。 はて、何時僕は寝たのだろう? 僕は高木神社で早弁をしている。 昼食の時間は購買で焼き…

【あなたが眠るまで。】その12

弁当箱の中身は半分ほど食べていた。 からあげは最後に食べようとしていた3つとも入っていた。 減ってなく、増えてもなく、整然と3つ、弁当箱に収まっていた。 僕はカケルに弁当箱を差し出すとカケルはひょいっとからあげを1つつまみ上げると、そのまま一口…

【あなたが眠るまで。】その11

がやあー、がやあー 空で朱い何かが鳴いている。 空は暗い。 黒い空に朱い何かはクルクルと舞っている。 「…ねえ、あの朱いのは何かな?」 ソレは唐突に聞いてきた。 ミカヅキはハッとして僕の方へ振り向く。 ソレはケタケタ笑う。 「アレはね、『えんらえん…

【あなたが眠るまで。】その10

6.尚、闇は続く 「お兄ちゃーん」 遠くから僕を呼ぶ声が聞こえた。 カケルだ。 僕が弟だと思い込んでいた何かだ。 僕はぐっと息を飲む。 カケルは、ソレは未だ僕を兄と呼ぶ。 歯を食い縛らないと返事をしてしまいそうになる。 得体の知れない、ある種の妖怪…

【あなたが眠るまで。】その9

5.夜明け前に星は消えた また元の場所に戻った。 僕は自分が寝ていた所の側まで行く。 足元は落ち葉や雑草があり、そこに僕が居た痕跡はなかった。 僕はミカヅキに聞かなければならない。 彼女は恐らく、この不可思議な事の顛末を知っている。 「どうして、…

【あなたが眠るまで。】その8

がやあー、がやー 僕の耳にあの朱い何かの鳴き声が届いた。 空を見上げてみたが、ここは葉と葉の隙間さえないのか朱い何かは見えない。 ただ、人の神経を逆撫でるような鳴き声だけが聞こえて来る。 僕はあの朱い何かが僕の前に現れるのは何故なのだろうと、…

【あなたが眠るまで。】その7

4.とおりゃんせ、とおりゃんせ 不思議と身体全体を覆っていた浮遊感はなく、地に足が着いている感触が僕を落ち着かせた。 いや、彼女の一言で僕にかかっていた霧が取り払われたから、何となくそう思えた。 しっかと真っ直ぐ立てていると言うのは、こんなにも…

【あなたが眠るまで。】その6

カケルの手に引かれながら僕は道なき道を歩く。 カケルの目には社の姿がはっきりと見えているかのようだ。 それは幻想かもしれないと疑う様子もなく、闇に潜む蛇や鬼に怯えることもなく、その足取りは無邪気なほど軽かった。 「お兄ちゃん、もうお弁当を忘れ…

【あなたが眠るまで。】その5

3.木々の間に潜む影達 走った。 草に足が絡まりそうになりながら、ただ、走った。 カケルが今にも倒れそうなほど腕を引っ張って。 カケルに目をやれば、僕は無意識に見てしまう。 僕らの後ろにあの木の怪物が迫って来ている。 カケルは急なことに何が何やら…

【あなたが眠るまで。】その4

カケルから今までの経緯を聞いた僕は、まず荷物を探してみた。 学校に行く前なら鞄を持って行く、はずだ。 鞄の中にここに来た理由が分かるかも知らない。 しかし、僕の周りにはカケルだけで鞄と思しきものはなかった。 ふと、ポケットの中はどうだったろう…

【あなたが眠るまで。】その3

カケルがどうしてここにいるのかは分かった。 僕が弁当を忘れて、それをたまたま休日だったカケルが自転車に乗って僕を追いかけて、高木神社で僕の自転車を見つけたから高木神社に寄った。 筋は通っている。 やはりここは高木神社なのだろうか? 「それで、…

【あなたが眠るまで。】その2

2.暗い暗い夜道 「お兄ちゃん、お兄ちゃん」 僕を呼ぶ声が聞こえる。 ずいぶんと幼い声だ。 はて、誰だろう? 訝しく思いながら、目をゆっくりと開ける。 「お兄ちゃん、お兄ちゃん」 そこで真っ先に目に入ってきたのは。 「…………誰?」 「お兄ちゃん?僕だよ…

【あなたが眠るまで。】その1

1.そして、日は沈みゆく 目を覚ましたら、僕は暗い場所にいた。 がやあー、がやあー アレは…鳥だろうか?朱い何かがクルクルと舞っている。 がやあー、がやあー けたたましく鳴くソレは、僕の上をクルクルと回っている。 がやあー、がややあー いや、アレは…