箱根芦ノ湖から、その3。
妹が10月に結婚した。
大変、喜ばしい限りだ。
ただ、母は嬉しい反面、寂しいようだ。
末娘を遠くに嫁に出す親の気持ちは分からないが、励まそうと、咳払いを1つする。
「(自分を指差して)ここに息子がいるよ」。
母は私の顔をまじまじと見た後、鼻で笑った。
息子ではないようだ、残念だ。
同い年の何人かは、もう子どもがいる。
幼なじみも双子の父になった、と聞いたときは、自分だけ取り残された気分になったものだ。
それでも、喜ばしいことには、変わりない。
皆が幸せになれば良い、と仙人になったつもりで達観してみる。