2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧
カケルの手に引かれながら僕は道なき道を歩く。 カケルの目には社の姿がはっきりと見えているかのようだ。 それは幻想かもしれないと疑う様子もなく、闇に潜む蛇や鬼に怯えることもなく、その足取りは無邪気なほど軽かった。 「お兄ちゃん、もうお弁当を忘れ…
3.木々の間に潜む影達 走った。 草に足が絡まりそうになりながら、ただ、走った。 カケルが今にも倒れそうなほど腕を引っ張って。 カケルに目をやれば、僕は無意識に見てしまう。 僕らの後ろにあの木の怪物が迫って来ている。 カケルは急なことに何が何やら…
カケルから今までの経緯を聞いた僕は、まず荷物を探してみた。 学校に行く前なら鞄を持って行く、はずだ。 鞄の中にここに来た理由が分かるかも知らない。 しかし、僕の周りにはカケルだけで鞄と思しきものはなかった。 ふと、ポケットの中はどうだったろう…