藍より青い夜の始まり、軽々とぶらり家路を進む。
朱に交じりて赤くなる夕暮れ、雲の形は不定形な形式だ。
黄昏れて徐々に形を失うのは、道行く人の横顔の輪郭なのか。
青も赤も黄も一緒くたに混ぜ合わせ、黒く黒く染上げる。
丹念な黒にさっと振り撒く金粉が、あの星々なのさ。
星々の煌めきは、昼の淡い光の中に溶けて見えない。
今日もそこに空がある。
向こうには山がある、町がある。
すべての色がどの先でもきっと一つの色になっている。
それなのに私は相変わらず、どっちつかずのはぐれ者だ。
不透明な濁りを抱えているくせに、その濁りは透けてしまって見えづらい。
青でも赤でも黄でもない、灰色な私も混ぜ合わせて欲しい。
一人ぼっちは嫌ではない、周りに誰もいなくても悲しくない。
しかし、仲間はずれにされるのは、少しばかり寂しい。
青でも赤でも黄でも良い、上辺だけでも仲良くして欲しい。
明日の朝には皆散り散りになる。
さっきまで身を寄せ合っていた色たちは、私こそが唯一だと主張し始める。
だから朝は嫌いだ、そんな主張をしなくても、青は青だし、赤は赤、黄は黄なのだから。
藍より青い夜の始まり、軽々とぶらり家路を進む。
朱に交じりて赤くなる夕暮れ、雲の形は不定形な形式だ。
黄昏れて徐々に形を失うのは、道行く人の横顔の輪郭、その細い細い線をなぞる。
黒と一緒くたになれずに着いた家の玄関を、溜息混じりで開く。