ギャグパートを挟んでの怒濤の展開、意外な結末、だとおもふ。
左近寺、玄野、稲葉が登場する。
左近寺「はあ、はあ、はあ…ようやく撒けた(ま・けた)か?」
赤城、梅木、登場。
梅木「さいか、サイフあった?」
赤城「しろが危ない」
梅木「え?」
赤城「人魚伝説の瓶のある山に行った。間違いない」
梅木「まさか、本当かよ…」
赤城「助けなきゃ」
梅木「どうやって?」
赤城「…宝刀を隠さそう」
梅木「何で?」
赤城「宝刀で切らなきゃ、万病の薬にならないから」
梅木「…それで?」
赤城「社に飛び込んで、邪魔して、騒いで、ぶち壊す」
梅木「ねぇ、それって無計画って言わない?」
赤城「他に頼れる大人がいない…」
梅木「でも!伝記通りなら、日付が変わる頃でしょ?まだ時間があるよ?もっと考えようよ」
赤城「私もそう考えてた…だけど、完全に出遅れた…!」
梅木「………私たちだけで、助けられるのか?」
左近寺「お嬢さん方?」
赤城「わっ!」
梅木「ぎゃあ!」
左近寺「おっと驚かせてしまって済まない」
赤城「…誰?」
左近寺「いやね?少ーしだけ、話が聞こえてきたもので?何やら大変だねぇ?」
赤城「あなたには関係ありませんから…」
左近寺「宝刀、俺が隠そうか?」
赤城、驚く。
梅木「さいか」
赤城「でも、社にはカギがかかっていて」
左近寺「俺は魔法使いだ。カギなんてあってないようなものさ」
左近寺「お前たちは宝刀が邪魔、俺は宝刀が、欲しい。利害の一致だ。ああ、タダでやってやる。悪い話じゃないだろ?」
梅木「さいか…」
赤城「…分かった、着いて来て」
左近寺「そうこなくっちゃな」
玄野「おおお…銀を見失ったと思ったら、別の悪事を見付けちまったッス!」
稲葉「うーん、どうしよっか?」
玄野「決まっているッス!朱理ちゃん、あいつに張り付くッス!」
稲葉、左近寺の背中に張り付く。
左近寺「おお…?何だ、急に、身体が、重く…」
稲葉「絶対に、離れない…!」
左近寺「ぐうう!何だっ!くそっ!」
赤城、梅木、左近寺、稲葉、玄野、一度退場。
姫恋、村人たちと登場。
村人A「さあ、儀式だ」
村人B「儀式だ、儀式だ」
村人C「その清らかな血で助けてくだせえ」
村人D「巫女さま、どうぞ、こちらへ」
姫恋、スッと座る。
村人A「時はまだか」
村人B「宝刀はまだか」
村人C「まだかまだか」
村人D「静かに待とう、皆の衆、時は逃げない」
赤城、梅木、左近寺、玄野、稲葉が登場する。
手には、長い棒。
梅木「良かった、まだ生きてる!」
赤城「社はこの先にある。私たちが村人の気を引くから、その隙(すき)に宝刀を」
左近寺「ぜぇぜぇ…任せろ…」
左近寺、稲葉、退場。
赤城「しろを返してもらうよ…!」
村人D「…お前たち、ここで何をしている?」
姫恋「駄目…!」
赤城「しろは普通の女の子だ!傷一つつけさせやしないよ!」
梅木「それでも傷付けるっていうのなら、私らが相手だよ!」
玄野「正義の味方、参上!」
村人A、B、C、Dと赤城、梅木の乱闘する。
玄野、赤城と梅木の加勢をしようと村人に引っ付く。
赤城、梅木、負けて村人たちに捕まる。
村人D「全く、手こずらせおって……おい、誰か、社に行ってくれ」
村人C、退場する。
赤城「お前ら、良い歳した大人なのに恥ずかしくないの?」
村人D「お前らも大人になれば分かる、これは神聖なことなのだ」
梅木「死に絶えろ」
玄野「正義は必ず勝つッス!」
村人A「生意気な」
村人B「こらしめなければ」
村人D「…これも定めだ、受け入れろ」
村人C、退場する。
入れ替わりに須藤、登場。
須藤「左近寺さんっ!」
全員、須藤を見る。
須藤「ここにも居ない…どこに隠れたのでしょうか?」
赤城「刑事さんっ!そいつら、しろを殺そうとしている!助けて!」
須藤「…ほう?殺す?そうなのですか?」
村人A「娘の戯言だ」
村人B「そうだ、娘の戯言だ」
村人D「ええ、ちょっと、こちらの事情で揉めているだけでして…」
村人C、慌てて飛び込む。
村人C「大変だ!宝刀が盗まれた!」
赤城「…うっし!私たちの勝ちだ!」
梅木「あのドロボウのおじさん、ちゃんとやってくれたのね!」
須藤「!もしかして…!(写真取り出し)この人ですか?!」
写真を全員で見る。
赤城「この人です!」
村人A「捕まえよう」
村人B「そうだ、捕まえよう」
村人C「一刻も早く」
村人D「ならず者に天罰を」
須藤「…待って下さい?捕まえる?捕まえるって言いました…?うふ、ふふふふふ……左近寺さんを捕まえるのは、私ですっ!ハァッ!」
村人A、B、C、D、玄野、吹き飛ぶ。
玄野「!え、何で、俺まで~!」
赤城、梅木、須藤、退場。
袖から宝刀を抱えた左近寺、稲葉が表れる。
ふらつきながら歩き、途中で膝をつく。
左近寺「くそ、身体が重い」
左近寺「…ああ、何で、こんな…くそっ、くそっ、くそっ、くそぉっ!!」
左近寺、宝刀を振り回す。
稲葉に当たり、左近寺から離れる。
稲葉「あ」
稲葉、発作を起こす。
テレパス発動。
望月、山緑、駆け付ける。
望月「朱理!」
望月、稲葉を抱き締める。
稲葉「…ごめん、油断しちゃった」
望月「バカ。心配させるんじゃないわよ」
玄野、登場。
玄野「おおっとっと…あの人、やるな…あ、朱理ちゃん!」
望月「おい、馬鹿。お前、どこ行ってた?」
玄野「え、そこの建物に…」
望月、舌打ち。
玄野「え、どうしたの…?」
稲葉「…何でもないよ?でしょ、紫苑ちゃん!」
望月「…はあ。そうね、何でもないわ」
玄野「そうっスか?なら良いッス!」
金田、黄戸、山緑、登場する。
左近寺「…お?何か、身体が軽くなった?」
左近寺「…疫病神でも憑いてたか?ハハッ」
左近寺「…もしかしなくても、こいつぁ、値打ちものか?」
黄戸「いや?たまたまだろ?」
金田「…それに値打ちはない」
左近寺「!誰だ!…お前、どこかで…待てよ…!お前、金田か!やっぱ、生きてやがったか!」
金田「…俺が生きていちゃあ可笑しいか?」
左近寺「ああ、ちゃんちゃら可笑しいね!覚えているだろう?10年前だ!あのバス事故で俺は右にしか曲がれなくなった!お陰で俺の人生めちゃくちゃだよ!だから!お前んとこの会社に、慰謝料ふんだくろうとしたさ!ああ、当然の権利だよな!なのに!あいつらっ!金田錦っつー人間は存在しねぇと抜かしやがった!そんなことある訳ねぇだろっ!でも!金田錦がいたって証明するものが何一つとしてないっ!あのバス事故で生き残ったのは、俺とお前だけ…!俺がどんなに騒いでも、右から左に聞き流して、お茶を濁して、はい、おしまい…ふざけんなっ!それもこれも、お前のせいでっ!お前のせいでっ!!」
金田「……俺のせい?10年前のあの時、マネキンを置いた、お前のせいだろっ!?」
左近寺、驚き、固まる。
金田「ああ、やはり、そうだったんだな」
左近寺「いいや、違うね。あんな邪魔な所にマネキンなんて置いた奴が悪いんだ!それに!誰が分かるかよっ!マネキンが倒れてくるなんて!」
金田「それでもお前が動かした事実は変わらない。お前が右にしか曲がれなくなったのは、自業自得(じごうじとく)だ」
左近寺「あああああ!うるさいっ!お前の、お前のせいだろうがっ!」
金田「逆切れか。見苦しい。俺は乗り合わせていただけだ。俺がお前に…」
黄戸「ウソ、違う」
金田「…あ?」
バツン、と言う音。
望月「あの事故は、錦のせい、そう言いたいんでしょ?」
金田「…俺の、何…?」
望月「錦、貴方、どこにいたのよ」
金田「俺?俺は…ここだ、ここにいた」
黄戸「そこは玄野」
金田「あ、ああ、そうだな、こっちだ」
黄戸「そこは、稲葉」
金田「…こっち、か?」
黄戸「そこは、望月」
金田「ああ、ここだ!」
黄戸「そこは、山緑」
金田「違う違う、間違えた!…ここだ」
黄戸「そこは、左近寺、で、俺はここ」
金田「そんな…俺は、あのバスに乗っていたんだぞ!」
黄戸「それは本当。錦は乗っていたよ。でも…」
玄野翔、望月紫苑、山緑永久、黄戸正道、稲葉朱理、左近寺勝が自分の位置を金田に言う。
金田、声に溺れそうになりながら、椅子に座る。
金田「俺は、どこにいたんだ…?」
金田、手はハンドルへ。
山緑「…どなたぁ?」
金田、山緑の声に、ハンドルを握る自分に気付く。
金田「そんな…まさか…いや…でも…」
金田の後ろへ玄野翔、望月紫苑、山緑永久、黄戸正道、稲葉朱理、左近寺勝が移動する。
バスが発車する音。
バスに揺られる、6人。
バスのアナウンス「次は北森2丁目、北森2丁目___」
玄野「朱理ちゃん、いよいよ来週ッスね!」
稲葉「楽しみだね。ライブショーって初めてだからドキドキする」
玄野「声の限りに応援するッス!そうすれば、ヒーローに届くッス!写真も撮る(と・る)ッス」
稲葉「…あー、楽しみだなぁ」
山緑「どなたぁ?」
望月「犬養毅」
山緑「…正解だよぉ。えっと…どなたぁ?」
望月「渋沢栄一」
山緑「わあ、正解だよぉ。紫苑ちゃんは頭良いなぁ」
望月「…もっと難しいのにしなさいよ」
黄戸、音楽を聴いている。
左近寺、窓の外を眺めている。
バスのアナウンス「次は南公園前、南公園前___」
金田「あの時、バスを横転させたのは…?」
バスのアナウンス「次は市立図書館前、市立図書館前___」
バスの中、一際(ひときわ)にぎやかに。
金田「次は東名大学病院、東名大学病院___」
ガン、という音。
玄野翔、望月紫苑、山緑永久、黄戸正道、稲葉朱理、左近寺勝、プールに飛び込んだ時のように、急に身体が沈む。
タイヤが加速する音。
玄野翔、望月紫苑、山緑永久、黄戸正道、稲葉朱理、左近寺勝、沈んだ身体が水面に向かって浮かぶように、ゆっくりと身体が上へ と向かう。
ドゴン、という音。
玄野翔、望月紫苑、山緑永久、黄戸正道、稲葉朱理、左近寺勝、風に舞う木葉のように、バスの中でしっちゃかに動く。 玄野翔、望月紫苑、山緑永久、黄戸正道、稲葉朱理、左近寺勝、横たわる。
金田「うわぁぁああ!!!」
金田「…俺は、バスの運転手だった。俺はマネキンを避けようとハンドルを右に切った。10年前、バスを横転させたのは…!」
金田、後ろを振り返り、死体を見る。
死体、舞台奥に向いていた顔を、ゆっくりと金田に向け、目を見開く。
玄野翔、望月紫苑、山緑永久、黄戸正道、稲葉朱理、左近寺勝「お前だ」
金田、膝から崩れ落ちる。
死体は砂が風に運ばれていくように、消えていく。
姫恋「真実を知りたくありませんか?」
金田「…真実…?」
姫恋「選択の時が来ました。あなたが望むなら、真実をお教えしましょう」
金田「…教えてくれ、俺は知らなければならない、10年前の真実を」
姫恋「…分かりました。玄野」
玄野「…オッケーッス」
姫恋「遥かなる時を越えて、今こそ真実へ」
風の音が鳴り響く。
玄野翔、望月紫苑、山緑永久、黄戸正道、稲葉朱理、左近寺勝、退場。
金田にスポットライト。
金田「…ここは…バス停…?」(バス停の文字を読む)
金田「…東名大学病院……10年前の事故現場なのか?」
姫恋「確かに道路脇にマネキンはありました。しかし、倒れていない」
金田「…!マネキン!こんなとこにマネキンなんかあるから!」
鈴木「あああああ!!それに触るなっ!」(飛び出しながら)
金田「鈴木さん?!」
鈴木「それがないと姫様が来られなくなってしまう!母が死んでしまう!それに、触るなぁ!」
金田「お、落ち着いて下さい、鈴木さん!落ち着いて!あっ」(倒れる)
金田、道路へ。
「次は東名大学病院、東名大学病院___」
ガン、という音。
タイヤが加速する音。
ドゴン、という音。
姫恋「あの時、倒れてきたのは、金田錦さん、あなた」
金田「そんな…」
姫恋「10年前、10年後から来たあなたに私は出会っていた」
姫恋「私は、鈴木さんに頼まれて、鈴木さんのお母様に会いに行く所でした」
姫恋「あのバス横転事故によって、その日のバスで鈴木さんはお母様に会えず、翌日、鈴木さんのお母様は息を引き取りました」
金田「うそだ、そんなの、うそだ。マネキンを置いて、倒したのは左近寺だ。俺じゃない、違うっ…!」
金田、打ちひしがれている。
金田「俺じゃない…」
玄野翔、望月紫苑、山緑永久、黄戸正道、稲葉朱理が登場。
沈黙したまま、金田の周りを立つ。
姫恋、金田たちから距離を取る。
銀、登場。
銀「はあはあ…!あ、錦!今すぐこの島を出るぞ!このままじゃお前、モルモットにされちまう!」
金田、黙る。
銀「?どうした、何か調子悪そうだな?」
金田、動かない。
銀「え?無視?ガチでどしたの?」
銀、金田の頸動脈を計り、頷く。
銀「生きてんじゃん。おーい、どーしちゃったんだよ。聞こえてる?…いや、マジで動いて、マジで。ちょっと洒落にならんのよ。時雨ちゃん、俺の想像を超えてサイコっつーか…ヤバいのよ。とにかく、逃げの一手!まあ、あれよ、俺がお前を守ってやるさ、親友だろっ!…決まった……おーい、錦さーん、応答願いまーす…駄目だ、全くの無反応、どうしたもんか…」
玄野「にしきん、動かないね」
望月「…ふざけないで」
黄戸「紫苑?」
望月「あんたは生きているじゃない。何、うずくまって、みっともない」
黄戸「…紫苑」
山緑「…錦さん、現実を受け入れないと…もう、過去のことなのですから」
金田、耳を塞ぐ。
稲葉、銀に近付き、手を触れる。
玄野「朱理ちゃん?何してるんッスか?」
稲葉「…この人も、巻き込むの」
玄野「え、あ、ちょっ!?」
銀、玄野翔、望月紫苑、山緑永久、黄戸正道、稲葉朱理が見える。
銀「は?え?誰?近っ!?」
稲葉「初めまして。私たちは錦さんの幽霊です」
銀「え、えー、はじめまして?」
稲葉「銀さん、金田さんは今、失意のどん底にいます」
銀「え、あ、落ち込んでんね?あ、君、可愛いね?」
稲葉「実はかくかくしかじかで」
銀「え、いや、「かくかくしかじか」をいう人初めて見たわ」
稲葉、銀の肩に手を置く。
稲葉「記憶の共有をしますね」
銀、膝をつく。
銀「…ええ、何、これ?え?えー…何か、ええー…」
稲葉「状況は分かりましたでしょうか?」
銀「…ああー、待って。いや、分かったけど?待って、稲葉さん?」
稲葉「はい」
銀「わてと結婚しましょ!」
山緑「近付くな、変態」
銀「あ、ありがとうございます!」
山緑「うわあ…」
玄野「すげぇ…」
黄戸「罵倒(ばとう)されて、お礼とか頭おかしいんじゃねーの?」
銀「バッキャロー!美人からの罵倒はご褒美だ!」
山緑「うわあ…」
望月「気持ち悪い…」
稲葉「…銀さん、おふざけもその辺で?」
銀「本気なんだけどな…おい、錦、お前、こんな美人をはべらせていたのかよ!」
銀「あー!まったく羨ましいね!おいらもきゃわいい子を膝に乗せたいね!」
金田「何が羨ましい?」
銀「いやあ?こんなきゃわいい子が3人に、話し相手になってくれそうなガキ2人、毎日が退屈しなさそうで羨ましいってことよ?」
金田「ふざけるなっ!お、おれが、俺が殺したんだぞ!」
銀「知ってる、さっき見させてもらったから」
金田「お、おれが、飛び出さなければ、は、ハンドルを、ぶ、ブレーキを、おれが…」
銀「後悔してるの?」
金田「してるよ、後悔!」
銀「んじゃあ、取り返そうぜ!」
金田「…は?」
銀「10年前に戻れば良いじゃん?な?」
金田「何を言って…?」
銀「え?だって、錦が10年前に飛んだからバスが横転したんだろ?だったらもう一回飛べば良いじゃん?」
金田「そんな簡単に…」
銀「飛べなかったら、飛べませんでしたぁ、で終わる話だろ?」
銀「錦、お前はどうしたいよ?」
金田「俺は…バスの事故を止められるなら、止めたい」
銀「そ?ならそうすれば?」
金田「銀…」
銀「あーあ、もったいない奴だな~、折角、きゃわいい子に囲まれているっつーのに」
銀「…ま、好きに生きな。お前の人生はお前のもんだろ?」
銀「いいか、錦!幸せになるから笑うんじゃない!笑うから幸せになるんだ!」
金田「…くっく…急に何だよ?」
銀「今度こそ決まった…どや、格好良かったろ?」
金田「…銀、ありがとう」
金田「玄野、飛んでくれ」
玄野「10年前のバス事故現場ッスね!」
金田「いや、バス現場じゃない」
玄野「へ?」
金田「鈴木さんは、何故、姫恋を連れ出したのか?」
金田「10年前は…まだ鈴木さんの母親は、生きている」
望月「母親の病気を治すため?」
金田「なら、まずは、鈴木さんの母親に会いに行く」
黄戸「連れ出す?姫恋の血で治すんか?」
金田「違う…鈴木さんは、ただ、親孝行したいだけだ。なら、そのわだかまりを解けば解消する」
銀「さっすが!俺の見込んだ漢だぜ!」
玄野「おおし!やるぞぉ!準備は良いッスか、にしきん!」
金田「…ああ」
玄野「…よし、10年前へ!」
金田「銀!」
銀「心配しなさんなって。絶対うまくいくさ…全部、終わったらさ、休もうぜ?そんで、どっかきゃわいい女の子がいる所に行こうぜ、おいらと一緒にさ!」
玄野翔、望月紫苑、山緑永久、黄戸正道、稲葉朱理、銀、退場。
・終わり-バス横転事故?-
金田、バス停でバスを待っている。
鈴木、バス停へ。
金田「鈴木さん、鈴木夕さん」
鈴木「…?誰ですか?」
金田「怪しい者ではありません」
鈴木「…!まさか、島の…!邪魔はさせない!私は、姫様に母の病気を治してもらうんだ!」
金田、手紙を差し出す。
鈴木「…何ですか、それは?」
金田「貴方のお母様から、です」
鈴木「!母から?」
金田「どうぞ」
鈴木、疑いながらも手紙を開く。
鈴木「……………う、うう、うああ」(悲しむ)
鈴木、姿勢を正す。
鈴木「…どなたかは存じませんが、ありがとうございます。母の、母の本意が分かりました。ところで、どこで私がここにいることを?誰にも言わずに来たのに…」
金田「ああ、それは…あなたの記憶を診たんですよ」
鈴木「…私の記憶を?」
金田「はい、あなたの記憶を」
鈴木「ふふっ、人の記憶は見れませんよ?」
金田、笑う。
鈴木「この手紙が私の手元に届かなかったら…私は親不孝に親不孝を重ねるところでした」
金田「私はただ、手紙を届けただけです」
鈴木「いいえ、あなたはもっと大事な物を届けてくれました…本当にありがとうございます」
金田「止して下さい…もう暗くなります。お帰りになるならお急ぎください」
鈴木「ああ、そうですね。済みません。失礼します」
金田「…お元気で」
鈴木、退場。
バスの発車音。
金田「さて、これからどうしようか…」
金田、バス停のベンチに腰掛ける。
金田は前を見据えて座っている。
バスのアナウンス「次は北森2丁目___」
金田「夢は終わった」
バスのアナウンス「次は南公園前、南公園前___」
金田「姫恋も助けた」
バスのアナウンス「次は市立図書館前、市立図書館前___」
金田「俺は、これから、どうしようか…?」
バスのアナウンス「次は東名大学病院、東名大学病院___」
ブロロ、という音。
玄野、望月、山緑、黄戸、稲葉が登場。
玄野翔、望月紫苑、山緑永久、黄戸正道、稲葉朱理、バスを来るのを待っている。
金田「確かに、この病気は不自由で仕方がない」
金田「いろんな人間の記憶を診てしまった。みんな自分勝手で、ズルくて、弱くて、醜かった。俺に言わせりゃ、みんな病気みたいなもんだ」
金田「でも、みんなどこかに大切な何かを持ってるんだ。大抵、色んな記憶の中に埋もれちまうんだがな…」
金田「そいつを掘り起こしてやると、記憶たちが、輝くんだよ。まるで色ガラスで作ったモザイクみたいに」
金田「これは俺にしかできない。俺にしかできないんだ」
左近寺、須藤、走って登場。
左近寺「しつこいぞ!須藤!」
須藤「私は警察官、ホシを追うのが仕事です!」
左近寺「嘘つけ!お前はホシを上げたいわけじゃ…(玄野とぶつかる)いってぇな!どこ突っ立ってんだっ!」
須藤「あ、人にぶつかりましたね!?傷害罪です!現行犯で逮捕しますっ!」
左近寺「っうっせー!!!」
左近寺、走り出す。
須藤、追う。
バスが止まり、ドアが開く。
玄野翔、望月紫苑、山緑永久、黄戸正道、稲葉朱理、乗り込む。
発車、バスは無事、東名大学病院を通過する。
玄野翔、望月紫苑、山緑永久、黄戸正道、稲葉朱理、左近寺勝たちは揺られながら退場。
姫恋、中央丘に登場。
その後ろから時雨、登場。
時雨、姫恋の肩に手を置き、笑う。
金田「病人だらけのこんな世の中だ」
金田「はぐれ者がいても、別に良いよな…?」
時雨「姫恋先生、今日はあと2人です」
姫恋「分かりました。呼んで下さい」
暗転。
終わり。