その3。
ここもさくっと。
3、瞳の部屋。
雨が降る音と雷鳴が聞こえる。
シャケ 雨の匂いがする……
ベッカム 洗濯物、取り込みましたよ
フジヤマ (しきりに首を傾げる)おかしいな……
瞳 ベッカム、ありがと。シャケ、そんなところに居ると風邪引くよ
シャケ はーい
ベッカム いやー、にしても、すっかり馴染んでしまいましたね!
瞳 ハッ、あんだけ色々あれば、逃げ出すか、諦めるしかないでしょ?
シャケ ……んー。色々あったけど、逃げ出さなかったね、ひとみんは
瞳 ……あー、あの家に帰るくらいなら、ね。フジヤマ、さっきから何してるの?
フジヤマ いや、前々から音が濁っているように聞こえるんですよねー……どこか、電波の出ているような……今、その発信源を探っているところです
瞳 何?今度はフジヤマ以外に盗聴している奴がいるっていうの?面倒だなー
シャケ と言いつつ、余裕の態度
ベッカム 私が言うのも何ですけど、悪い方向に馴染んじゃった感ありますね
雷鳴、轟く。
シャケ びっくりしたぁ……
ベッカム 今の、大分近かったですね
フジヤマ 懐中電灯の場所は?
ベッカム それならベッドの下に
瞳 ベッカム、何でもベッドの下に入れるの、止めてくれない?時々、物が無くなるの、普通に困るんだけど?
ベッカム いや、つい、癖で……
外、ほのかに赤い光が
シャケ ん?……!大変だぁ!
瞳 何?どうしたの?
シャケ 燃えてる!燃えてるよ!
フジヤマ 燃えてる?え、何が?
シャケ この、建物が!燃えてるの!
ベッカム え、火事ですか?(外を覗く)うわあ!大変だぁ!
瞳 ちょ、待って!荷物、えっと、必要な物だけ……あ、カギ!カギどこだ!
ベッカム (ベッドの下から斧を出す)そんな悠長なこと言ってられませんよ!オペレーションC!
シャケ オペレーションC!
フジヤマ オペレーションC!
ベッカム 我々は壁から脱出しますので、坂井さんは玄関から!荷物を持ちましたか!
瞳 普通に一緒に玄関から出れば良くない?
ベッカム 私たち、不審者なので!近隣住人に見付かる訳にはいかないのです!
瞳 面倒くさいな!あー、もう!怪我しないでね!
ベッカム、シャケ、フジヤマ はい!
ベッカム、壁を斧で壊して、脱出する。
シャケ、フジヤマ、ベッカムの後を追う。
瞳、荷物を抱えて玄関から飛び出す。
部屋が火で燃えていく。