その4。
もう少し、こう、内容を煮詰めても良かったかも?
親とは何ぞや?
4、建物の外。
瞳、燃える建物をぼんやりと眺める。
ベッカム、シャケ、フジヤマ、瞳の後ろ側にひっそりと
瞳 あー、歩には何て言おう……まあ、災害だしな……あの子の荷物がなくて良かったけど……
フジヤマ ……坂井さん
瞳 びっくりした、急に話しかけないでよ
フジヤマ あ、済みません。えっと、こんな時に恐縮なのですけど……
瞳 何?
フジヤマ そのー、その荷物、改めさせてくれません?
瞳 は?
フジヤマ ……そのー、謎電波の発信源、その荷物っぽいんですよねー
瞳 ……は?
フジヤマ ……失礼
フジヤマ、荷物を漁り、目覚まし時計を出し、分解する。
ベッカム その時計は?
瞳 ……子供の頃から持ってる、お気に入りの……
フジヤマ ……あー、ありました。GPSと、盗聴器です
瞳 ……そう
頼子、息も切れ切れに飛び込んでくる。
頼子 瞳!……あー、良かった。怪我は無い?大丈夫?
瞳 近寄るな!
頼子 何?親に向かって?私はあなたを心配して……
瞳 ずっとか?
頼子 はい?
瞳 この半年間、ずっと、盗み聞いてたのか?
頼子 ……盗み聞く?何の事?ああ、火事で気が動転しているのね?大丈夫よ、もう安心して良いからね?
瞳 変だと思ってたんだ。下着泥棒は、何故か、真っ直ぐ私の下着の入っている段ボールを一発で見付けるし。あのストーカー、何故か、 私の小学校の頃の写真を持っていたし。オレオレ詐欺で警察に行ったとき、何故か、あんたが来なかった。変だとは思ってたんだ……
頼子 まあ、なんて物騒な!ね?分かったでしょ?世の中はあなたが思うよりずっと危険なの。家に帰りましょ?部屋も燃えちゃって、 住むところがないでしょ?
瞳 ……全部、仕組んだことだろ?この火事も、あんたの仕業かな?
頼子 そんな訳ないでしょ!火事は雷がゴミ収集所に落ちたからでしょ!
瞳 どうして、この火事がゴミ収集所に雷が落ちたからって言えるんだ ?
頼子 それは、落ちるところを見たから……
瞳 見えないよ、通りからじゃあ。というか、ゴミ収集所の場所、どうして知っているんだよ?変じゃないか、下見でもしたか?語るに落ちてるんだよ
頼子 ……私はあなたのことを思って!
瞳 あんたは!お人形さんが!欲しいだけだ!私は!あんたの!お人形さんじゃない!
頼子 瞳!
ベッカム まあまあ、お互いに落ち着きましょ?
瞳 は?ベッカムは関係ないでしょ?
シャケ まあまあ、落ち着こう?
頼子 ……誰なのですか、あなたたち
瞳 白々しい、知っているくせにっ!
フジヤマ まあまあ、ブレイクブレイク
瞳 うるさい!盗聴野郎!下がってろ!
フジヤマ ガーン……私が盗聴器を見付けたのに……
ベッカム そうだ!きちんと対話をしましょう!
シャケ 対話をしよう!
瞳 ……何?対話?
ベッカム お互いに言い分があるようなので、ええ、ここは、きちんと話をした方が、良いかと。ただ!お二人だけだと感情的になり過ぎて、まとまらないので、両陣営に弁護する人間を、配置します…… 坂井瞳さんサイドに、シャケ
シャケ はい!
ベッカム 坂井、さんのお母様サイドに、フジヤマ
フジヤマ はい
ベッカム えー、私は、中立の立場で両陣営からの言い分を聞きます。えー、では、まず……落ち着ける場所へ移動しませんか?
瞳 ……そうだね、分かった
シャケ そこのカフェが良いよ!よく修羅場ってる!
フジヤマ あー、遠目から見ている分には最高ですよね、あのカフェ……まさか、修羅場の当事者になるとは……
ベッカム はいはい!移動しますよ!
一同、カフェへ。