自動販売機で「あたたかい」を押す。
ガコン、と音を立てて、缶コーヒーが受け取り口に出てくる。
軽くお手玉をして、プルタブを持ち上げ、缶コーヒーを飲む。
よく冷えた朝には、熱い缶コーヒーが美味い。
もうすぐ初雪が降るかもしれない、と天気予報に注視する毎日。
自動車を運転する身としては、滑る道路はカーゲームだけで良い。
雪自体は、今でも好きだが、それとこれとは話は別だ。
日が落ちるのが早くなった。
夜の帳に、朝の霧、夏の面影は何処にもない。
代わりに冬の気配がそこかしこに覗いている。
残り50幾日で、今年が終わる。
今年の目標は「人の忠言を聞く」と定めたが、果たして聞けただろうか?
どうにも途中から聞けていない、と感じている。
人に聞く機会自体が乏しかった、とも感じる。
今年も上手く立ち回れなかった、と振り返る。
来年は、何を定めようか?
もっと具体した内容が良いのだろうか?
例えば、私はセミリタイアをしたい。
60歳まで働くなんて、嫌だ。
しかし、そう簡単にもいかない。
現在の生活は、月10万あればどうにかなる。
そこで、月に10万円の生活を30年するとした場合。
貯金が最低4000万円は必要だということに。
そして、その金額を稼ぐには。
貯金を毎月15万円したとしても、50歳前後まで働かなければならない。
50歳になって、月10万円の生活をして、80歳前後で貯金が尽きる計算。
75歳には年金が入るだろうから、その分の節制ができるし、老後の手厚いサポートがあるから、本当に貯金が尽きるということはないだろうが。
いや、歳を取れば、払わなければならない税があるだろうし、冠婚葬祭や急な用事があるだろう。
4000万ぴったりでは、心許ない。
すると、結句、60歳まで働かなければならない。
しかし、私のような無能が残り30年も人様に迷惑をかけながら働くのは、心苦しい。
しかし、働かなければ、この身を維持するのさえ困難になる。
もっと切り詰めて生活するか、もっと稼げるようにするか、諦めるか。
定める、と言っても、定まらない。
来年は、何を定めようか?
考えれば、考えるほどに、身が凍る。
缶コーヒーの熱だけが、身を溶かす頼りだ。
忙しない日々が続く。
残り50幾日、それとなく今年と来年を想い馳せる。
投稿します。