気付いたら、すっかり秋だ。
いや、もうすぐ冬だ。
早足に駆けていく。
それなのに、玄関横に植えられた朝顔が今頃になって咲き誇っている。
皆、空を仰いで、青い花弁を開いている。
もう秋なのに、何か勘違いしていないか?
そう言えば、自販機にカエルが2匹、引っ付いていた。
白茶色のまだら模様の背中を揺らしながら、小銭入れを横断していた。
もう冬になるというのに、冬籠りの準備は良いのか?
駆け足で駆けていく季節に置いてけぼりをくらったのは、誰だろう。
私もまだ追い付けていない。
もう秋も終わるというのに、追い付けていない。
私と朝顔と茶ガエル、自由気ままか、ルーズなだけか。
春は未だ先、夏は遠の昔、秋は終わりかけ、冬はもう少しだけ。
季節の節目を忘れた、私と朝顔と茶ガエルは今日も我が物顔でいく。
気付いたら、秋だ。
気付いたら、秋なのだ。
早足に駆ける季節をのんびりと眺めて過ごす。