地を這いながら、風が雪をさらう。
まるで波打ち際の白波のように、私の足元を通る。
そうして風は、私のなけなしの熱さえさらっていく。
私は風に成りたい。
せめて、冬の間だけでも風に成りたい。
風であれば、寒さで身を縮ませることはない。
私の熱を奪って何になるのだ?
びゅーびゅーと吹く風で、私の耳はもげてしまいそうだし、指先はじんじんと痛む。
足早に建物の中に逃げ込んでも、建物に風はぶつかり、建物の中の熱さえさらおうとしている。
かき集めた熱は、冬の女王にでも献上するのだろうか?
下々の風に集めさせた熱でぬくぬくと暖を取っているのか?
許し難し、冬の女王!自分さえ良ければそれで良いのか?!
そう言えば、雪をさらっていったが、雪は何のためにさらう?
冬の女王に献上しているのか?
かき集めた雪でカマクラを作って、雪だるまを作って、ご満悦なのか?
…ちくしょう、ちょっと可愛いからって許されるなんて考えるなよ!?
地を這いながら、風はさらっていく。
冬の女王に酷使されながら、びゅーびゅーと使い走りをする。
もしかしたら、風のびゅーびゅーと鳴る音は、ひいひいと風が悲鳴を上げているのかもしれない。
可哀想だから、私のなけなしの熱でも持っていけ。
まだまだ冬は長いぞ、頑張れ、風よ。