11時頃になって眠くなってきた。
目の端に涙が滲む。
少しぼやけた視界は脳がぼやけたからか、涙で滲んだ目で見ているからか、分からない。
欠伸を数分置きにしている。
いっそ寝てしまった方が早い気がする。
いや、しかし、今寝るにはかなり微妙だ。
皮膚科の待合室で船を漕ぐ。
がくんと頭が落ちる度に、ふわっと起きる。
横たわれるなら、横たわりたい。
突然、稚児が泣きじゃくり始めた。
原因は分からない。
何か、嫌なことでもあったのだろうか?
にわかに騒がしくなる待合室であったが、騒音とまではいかない。
再び意識が遠のいていく。
稚児の泣きじゃくる声が2020年の年明けのように感じながら、がくんと頭を落とす。
何度か繰り返すうちに、幾らか目が冴えてきた。
目端に相変わらず、涙が滲んでくる。
右手の袖で軽く擦って何度目かの涙を拭う。
呼ばれて、すっと立ち上がり、その後は滞りなく終わる。
ささっと診療室を出て、会計して、薬局に行って、処方された。
普段もこれくらいささっと動ければ良いのだが、それはまた別の話だ。
それからはしばらくは覚醒モード、眠気は来なかった。
再び私の目端に涙がやって来たのは、21時頃のことだ。
そろそろ眠気にノックダウンされそうだが、もう少しだけ粘る。
耳元に残るは稚児の鳴き声か、年明けの産声か、微睡みながら考える。