2020年11月11日、実に切りの良い数字の日だ。
ランダムに数字が並ぶのも好きだが、スッキリとシンプルな並びは気分が良い。
シンプルな並びで気分が上がる、実に安上がりな人間だ。
今日は休みを言い渡された。
朝はのっそりと起きて冷めたチャーハンを食べ、のろのろとストーブの前で過ごした。
14時30分頃にちょっと外に出て、日の光を浴びた。
天気は曇りであったが、程なくして晴れてきた。
空の半分は灰色でのっぺりとした重たい曇り空、残りの半分は透き通る水のような青く高い晴れ空だ。
雲の群れからはぐれた子雲が慌てて曇り空の方へ流れていって、今日という良き日を象徴しているようであった。
山は燃えるような赤茶色と渋い緑色の装いで、秋そのものであった。
冷気はストーブで火照った身体を優しく冷ましてくれた。
ああ、今日は実に良い日だな、と感じる。
こんな良い日には、そう、ポッキーだ。
11月11日はポッキーの日だ。
ああ、今日は良い日だなと感じながら、ポッキーを口に入れれば、幸せな味がするだろう。
何かがあった訳でもない。
誰かに会った訳でもない。
ただ私が「ああ、今日は良い日だったな」と感じたと呟いただけだ。
誰かに聞いてもらいたいとは、ちょっと違う。
誰かに共感してもらいたいとも、違う。
私が感じたままを呟いて零れ落ちた言葉を、誰かが何となしに拾って気に入ってくれたなら、それに気付いた私はちょっとだけ笑って、軽くお辞儀して、さっとその場を去るだけだ。
今日は良い日だ、私にとって。
今日は良い日だ、と顔も名前も知らない誰かが感じて。
今日は良い日だ、とお互いに胸の内で語り合えれば、それで良い。
2020年11月11日、実に切りの良い数字が並ぶ日だ。
シンプルに「ああ、今日は良い日だ」、と感じながら過ごしたい。
今、この瞬間が、私のすべてだ。
今日は良い日だ、実に。