部屋の小窓の上半分が青い。
電気を着けていない部屋にその青さは眩しい。
そんな晴天の日、私は部屋に篭城していた。
もうすぐ日を跨ぐ。
日を跨いだら、15日となる。
13日の朝から、トイレと食事以外で部屋から出ていない。
つまり、1日と半日、外に出ていない。
身体は健康そのものなのに、やっていることは病人のそれだ。
明日もゆっくりと過ごしたい。
正岡子規は床に伏せた部屋にある小窓から、移ろう景色を眺めていた、と聞いたことがある。
正岡子規のような文才も、境遇も、ましてや衰退した身体でもない私が、彼の偉人と同じ思いになることはない。
しかし、小窓から見えるこの鮮烈な青さを、正岡子規も見たのかと、想像する。
このまま、何もせずに、無益に過ごす幸せを噛み締める。
他の誰かはきっと、無益なこの過ごし方を良しとしないだろう。
それでも、何もしない、という幸せは、少なくとも私の人生には必要だ。
ぐずらぐずらと考えながら、真っ黒な上半分の小窓を見る。
あの何処までも青い青は、気付けば、黒くなっている。
青いか、黒いか、間は何処かへ行ってしまった。
この後も、まだまだ呆けて過ごすつもりだ。
休日も後少しで終わる。
終わった後、何かを為す、何かを成す、そうした幸せが待っている。
浅く広く、ぽけらと過ごす、休日は幸せだ。
永久に続かない、けれど、永久に続く幸せだ。
誰かに理解されなくても、私が大事にすれば良いだけの、ちっぽけな幸せだ。
ちっぽけな私のままに、15日をよっとこ迎える。