縁石とアスファルトのひび割れた隙間から、雑草が伸び放題だ。
その雑草さえ、緑色に生き生きとしている。
中には、黄色や白の花をひっそりと咲かせているものまである。
名前を与えられた植物も、生き生きとしている。
誰かの庭先で青い紫陽花が、歩道に身を乗り出している。
誰かが置いた箱形の植木鉢にはパンジーが、かしましく咲いている。
ふと、バックミラーで後方を確認した。
そのバックミラーに、私の顔、真顔のおっさんが映った。
急に現実に引き戻させて、日常が遠ざかる。
こういう時、自意識が邪魔だ。
周りは然して、私のことなど気にしていないのに、1人勝手に杞憂している。
そんな自意識を追求している私は、特に面倒な部類だろう。
しかし、私は「美しい」と言いたい人間だが、客観して、問題ないだろうか?
空は澄み渡り、彼方の陸との境界線は青さを置き去りにして、きっと人間には手の届かない空白がある。
と、背中を丸めながらポチポチとスマートフォンで書いている31歳男性がいる。
問題、あるような、ないような…?
外見の問題で言えば、気持ち悪い気がする。
内面の問題で言えば、好きで書いているのだから、放ってほしい気がする。
彼らは、書いている途中で、我に帰ることがあるのだろうか?
そして、ふんぞり返って悶えていたのだろうか?
ブログを書いている人たちは、「私は何を書いているのだろう?」と考えるのだろうか?
それとも、書いている最中は気にならないのだろうか?
自意識の罠に嵌まる様を見てみたい、とちょっと、ほんのちょっと考える。
何度見ても、空は良い。
この空を眺めている間は、自意識を置き去りにして、「私」の手の届かない現象を言葉にしていたい。
31歳男性である私は、そう何度も考える。