夕暮れ時、冴えた蒼い雲がさりげなく空にさっと引かれていた。
あの蒼は何色という名を与えられているだろうか?
あの何の気負いのなく空を横切る蒼い雲に、心踊る。
19時になると、丸い街灯にぽっと光が灯る。
夕暮れの景色も気配も一緒くたにされる不安に、この街灯の灯りは安心する。
私に気負わなくても良いと微笑んでくれているようで、安堵する。
今日は仕事に行かなくて良い。
今日は寝なくても良い。
今日の私は、不自由から解放された逃亡者だ。
髪が目にかかってきたので、ばっさり切った。
身体の垢を銭湯で、さっぱり落とした。
あらゆるしがらみから私は逃れる。
夕食にはグリーンカレーを食べた。
ディープな店で赤い照明が点滅する。
混迷する夜の街の中、私は逃げる、心底愉快に。