2019年7月31日、本を読んだ。
部屋の隅に追いやっていた書籍だ。
タイトルは「演劇入門」、著者は平田オリザだ。
ページ数は200ページ程度でそれほど分量はない。
さくっと読めたのは大きい。
脚本の書き方が最近の興味の矛先になっているのも読めた要因だろう。
この書籍の初版は1998年とある。
およそ20年前に書かれた本だ。
出てくる時事が20年前のことなので、時代の変化を感じる部分もある。
読んでいて面白かったのは、「テーマ」は必要ない、とするものだ。
演劇は「ありのままの私が感じ得た世界」を表現するもので、その中で「精神の振り幅」を描くことができれば主義主張がなくても演劇として成り立つ、とあった。
また演劇とは「西洋近代演劇」の枠内で行われており、即ち、「対話」によって構成されるものだ、とあった。
誤謬を恐れずに平易に言うならば、他者との差異を描くことが演劇の役割ということだ。
大きい差異から小さい差異まで、どこに主点を置くかは脚本家に任されるが、右往左往する人間模様を描くことが演劇の役割とあった。
演劇という表現において、20年の時を経っても尚説得力を失わないのは、この書籍の魅力だろう。
今回、私は脚本を手がけたが、結句、テーマはなくなったようなものだった。
テーマがなくても良い、と言うのは、目から鱗だ。
それに加えて、「確からしいこと」を記述したいと願う私には、実は、脚本は肌にあったいたのかもしれない。
読んでいてそんな所感を抱いた。