脚本について私見でも書く。
別に大したことは書かない。
さらさらと書く。
私の脚本を一言で言い表すと、「ガワだけ脚本」だ。
外面、体裁だけ書かれて、中身がない。
しかし、厳密に言えば「中身がない」というのも違う。
脚本を書く前に、プロットを作る人がいるだろう。
プロットは物語の設計図のようなもので、「物語」を作る人には重要なスキルかもしれない。
しかし、私はこのプロットを必要とはしない人間だ。
プロットは無くても、「物語」はできるのだ。
そんな馬鹿な、と感じる人もいるかもしれないが、嘘ではない。
ある程度のパーツとそれを補うアイディアさえあれば、物語はできる。
ある程度のパーツとは、テーマであったり、キャラクターであったり、設定であったり、世界観であったり、ワンシーンやワンカットであったりする。
物語に必要なパーツをまとめたのがプロットであるが、プロットは物語に必要な要素を全部盛り込んだものだ。
最初に書き始める前に全部を揃えていなくても良いのだ。
1個、取っ掛かりがあれば、良い。
何故なら、物語を構成するパーツは他のパーツと連動しているので、そのワンアイディアから発想を広げて、アイディアを補っていけるからだ。
そして、「ワンアイディアから発想を広げる」というのも、奇をてらう必要は無く、物語の構造を使えば良いだけなのだ。
例えば、テーマだけがあった場合、そのテーマを語るのに必要な展開を考えれば良い。
テーマを語るのはキャラクターかシーンなので、テーマから外れないように考えれば1人のキャラクター、1つのシーンができるはずだ。
そうしたら、その1キャラクターと対話させるキャラクターを作れば良いし、そのシーンを繋げるためのシーンを考えれば良い。
例えば、キャラクターが先行してあった場合、ひたすらにキャラクターに喋らせれば良い。
「このキャラクターはこう言う」、「こう言われたら、このキャラクターはこう返す」を無限に繰り返せば、シーンはできる。
冗長になったならば削れば良い、不必要な情報は読み返せば分かる。
例えば、設定が先にあった場合、その設定をどの場面に最も活かせるか、を考えれば良い。
冒頭に入れれば世界観の説明になるし、山場に持って行けば意外な展開になる。
全体の流れに合わせて、キャラクターやシーンの動きや台詞を付け加えていけば良い。
私は難しいことを言っていない。
「こんにちは」と言われたら「こんにちは」と返す、物語とは反復して作られていくものだ。
その幾つもの反復を組み合わせたのが、物語だ。
別の例えで言うならば、物語を作ることは、料理を作るのに似ている。
プロットはレシピのようなものだ。
レシピ通りに作れば、美味しい料理ができるが、レシピがなくても料理はできる。
料理に必要な材料は、冷蔵庫の中にあるものを見て、足りない物は買い足せば良い。
後はざっくり手順を踏めば、1つの料理ができる。
難しい、と言っている人は「料理など作ったことがない」と言っているのと同じで、美味しくなければ料理じゃないと感じているのではなかろうか?
確かに、物語は面白く、料理は美味しくあるべきだろう。
しかし、ただ作るだけであれば、物語は紡げるし、料理もできるだろう。
物語も料理も、試行錯誤していけば、自ずと良い物になる。
と、私などは考える。
ざっくりとした作り方で、これが正しい作り方なのかさえ知らずに今まで来た。
現段階で試行錯誤ではあるが、物語は紡げている。
後々、ここで書かれた考えが私の演劇への姿勢になるかもしれない。
一応、括弧付きでカテゴライズしておこう。
さらさらと書いて、一満足だ。
眠れぬ夜に、脚本の書き方の考えを披露して、自我を保つ。