ネガティブ方向にポジティブ!

このブログは詰まらないことを延々と書いているブログです。

1099

カラスの群れが一斉に鳴き、西の山へ飛び立つ。

田に植えられた稲の穂先が仄かに黄色く色付くが、広葉樹の葉は緑の影色濃く、未だ夏だと感じさせる。

額の上をじっとりと流れる汗を右手の親指で拭う。

 

刻一刻と夕闇へと変わり行く駅のホームで、アイスを頬張る。

女子高生の戯れの声がフェンス越しから聞こえてくる。

野獣派の絵画のような重さのある雲が山の上に浮いている。

 

明日も仕事だ、朝から仕事だ。

耳の鼓膜付近に置かれた言霊は、しかし私の心臓の音でかき消される。

痛飲するぞ、と別の言霊は、私の血管を駆け巡り、心臓の音と共に肺を響かせる。

 

大きな声では言えないが、誰かに会うのは楽しみだ。

大きな声で言えないが、大きな声で言いたくなる。

世間体、しかし産まれた言霊は、私の心臓の音にかき消される。

 

アナウンスが流れる。

ようようと電車が減速しながらホームに滑り込む。

額の上をまたじっとりと流れる汗を右手の親指で拭う。

 

明日のことは今は知らない、そう呟いて、夕闇から離れる。