朝6時頃、ふと空を見上げると満月が浮かんでいた。
西に浮かぶ満月は、悠然と地上の景色を睥睨していた。
誇り高い白い満月に、思わず感嘆の声が出た。
北には赤紫色の雲が1つ、伸びやかに浮かんでいた。
今日も朝を迎えられたことを喜んでいるかのように、西から東へと大きく空を横切っていた。
伸びやかな赤紫の雲に向かって、自動車を走らせた。
遠くを見れば、上品で静謐な青い雲を纏った山々が寛いでいた。
朝の穏やかで静かな一時を青い雲と青い山は奏でていた。
段々と明るく暖かな太陽の黄色が、東から昇ってきた。
稲を刈り終えた田んぼには、蓬々と薄緑色の草がこぞって生えていた。
風が吹けばさわさわと揺れ、自由気ままにたむろっていた。
一陣の風と共に、その薄緑色の草たちの前を通り過ぎた。
勢い良く隊列を組んだ鳥の集団が私の視界に飛び込んできた。
見事なまでに等間隔に並んだ鳥たちは、縦横無尽に空を飛んでいた。
幾つかの鳥の小隊、は同じく等間隔に並んだ電線に止まり、行列を作っていた。
微かに、自動車の音が私の足下から響いていた。
びゅうびゅうと走る自動車の音が朝の景色に溶け込んでいった。
微かに、私の心臓の鼓動が早くなった。
何もかもが躍動していた。
誇り高い白い満月も。
伸びやかな赤紫の雲も。
上品な青い山々も蓬々とした薄緑色の草たちも。
勢い良く隊列を組んだ鳥の集団も。
朝の景色に溶け込んでいった自動車の音も。
何もかもが躍動していた。
どくんどくんと、私の心臓も釣られて躍動し始めた。
何もかもが上手くいきそうな、躍動する朝だ。
躍動する朝の景色に、私も跳ねた。
一言で言えば、朝から気分が良かった、それだけのことを書き綴った。
毎日見る同じ景色なのに、どうして毎日違う景色になるのだろうか?
天気によって、季節によって、気分によって、変わりゆく景色は今しかないのだろう。
あまりに躍動した朝であったので記述する。
この躍動した朝を懐かしむ日は来るだろうか?
何時か振り返ったときの楽しみとする。