「ムスカリ」が咲いている。
と書こうとして、「ムスリカ」と書く。
うろ覚えだから、微妙に違うのだ。
物の名前を覚えるのが苦手だ。
実は劇団員の名前も相当怪しい。
仕事場でも関わりが薄い人の名前さえいない。
そこでいくと「ムスカリ」を「ムスリカ」の間違いは覚えている方だ。
口語なら何となく伝わりそうだ。
いや分からないか、イスラム系の話かと勘違いされるか。
名前を間違えられて、ご立腹かもしれない。
ムスカリよ、申し訳ない。
しかし、多分、次も「ムスリカ」と言うだろう。
濃い紫の花を揺らしながら、ムスリカが咲いている。
そういう花だと、覚えてしまっている。
ほらもう間違えている、「ムスリカ」じゃなくて「ムスカリ」だろう、私よ。
私の脳内のお花畑にだけ咲いている、紫の花、ムスカリが笑う声が聞こえた気がした。