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【ストーリーテラー・ストーリー】~多分、夢の世界~

その3。

6500文字ちょい、ここが長い…

削れるかも?

 

 

3、多分、夢の世界。

 


 天井から明るい光。

 某絵描きの少年と大型犬が絵画の前で横たえたときに現れた天使のような情景。

 メトバ姫、キラキラ、くるくる回っている。

 


メトバ姫  フーフーフーン♪フーフフーン♪フーフーフーン♪フフフフーン♪ フフフフーン♪フフフフーン♪……カミサマ、カミサマ、 起きてください

 


 メトバ姫、深志の周りをくるくる回る。

 


メトバ姫  カミサマ?カミサマやーい?

 


 メトバ姫、深志を揺する。

 深志、唸る。

 


メトバ姫  カミサマカミサマ!起きて!起きて!

 


深志  ……うーん?うん?何だ?

 


メトバ姫  カミサマカミサマ!起きて!起きて!

 


深志  ちょ、ちょっと、何何何?

 


メトバ姫  カミサマカミサマ!起きて!起きて!

 


深志  おき、おき、起きてる!起きてるから!

 


メトバ姫  カミサマ!カミサマ!カミサマ!

 


深志  であああ!起きてるってば!

 


メトバ姫  あ!おはようございます!カミサマ!

 


深志  ……おはようございます?え?何、ここ、どこ?

 


メトバ姫  ようこそ!マーツモの国へ!私はメトバ姫!ご機嫌いかが、 カミサマ!

 


深志  マーツモの国……メトバ姫……へ?マーツモの国、メトバ姫?

 


メトバ姫  はい!

 


深志  え?あの、それ、私のですね、小説のですね、「 メトバ姫とサヤエンドウ」のですね、ヒロインの、メトバ姫、 ですか?

 


メトバ姫  はい!メトバ姫です!

 


深志  ……コスプレイヤーの方ですか?

 


メトバ姫  ブー!違います!あなたの創造物である、メトバ姫です!

 


深志  ええ……?いやいやいや、げ、 げ現実ときょ虚構の区別くらいできる……できゅるぞ……

 


メトバ姫  カミサマ?私の目を見てください!

 


深志  ?え、はい……

 


メトバ姫  私はメトバ姫、あなたの創造物です。この目が信じられませんか?

 


 深志、じっと目を見て、力が抜ける。

 


深志  うわあ……本当かよ……

 


メトバ姫  信じてくれるのですね!

 


深志  ……自分の作った物を間違えないよ……しかし、 マーツモの国のメトバ姫に会えるとは……え?じゃあ、ここ、し、 し、しご……そういう世界、なの?

 


メトバ姫  そういうことは、分かりません!

 


深志  ええ……?

 


メトバ姫  それより、カミサマ!助けてください!

 


深志  え、助ける?

 


メトバ姫  マーツモの国に侵略者が来ました!

 


深志  ま、待ってくれ……侵略者、侵略者……ナガーノ帝国か?

 


メトバ姫  さっすがカミサマ!その通りです! ナガーノ帝国のカエル王子が攻めて来ています!

 


深志  ああ、そういや、そういう流れがあったな……

 


メトバ姫  助けてください!カミサマ!

 


深志  まあ、話せば分かる奴だから、メトバ姫、 まずはお茶を用意してだな……

 


メトバ姫  助けてくれるのですね!ありがとうございます!カミサマ!

 


深志  へ?いや、メトバ姫さん?私は物語には登場しない人物だから、 物語に干渉するのはどうかなって思うんですけど?

 


メトバ姫  ありがとうございます!カミサマ!

 


深志  聞いてない……あー、そうだった、こういうキャラだった……

 


 突如、壮大な音楽が流れる。

 


メトバ姫  !この曲は……!

 


深志  え、何何何?

 


 カエル王子、デーンと派手に登場する。

 


深志  ん……?んん?え、縣さん……え、縣さん?!

 


カエル王子  フハハハハ!雨よ、風よ、太陽よ!我が覇道を導き給え!虫よ、 鳥よ、カエルたちよ!我に付き従え!我こそがこの世界の王! ナガーノ帝国第一王子、カ・エール・カエルだ!

 


メトバ姫  現れましたね、カエル王子! 今日こそギッタンギッタンのバッタンバッタンにして差し上げます !

 


カエル王子  おお、これはこれはマーツモの国の姫君じゃないですか。 ご機嫌麗しゅうございます

 


メトバ姫  白々しい!あなたの目的は分かっています! この国を乗っ取るつもりでしょう!

 


カエル王子  ハッハッハ!相変わらず、面白いことを言いますね?乗っ取る? 違いますよ、正しい道に導くのですよ。民を、国を、そして姫君、 あなたたちに本当の幸せをお教えする、それが私の使命ですから

 


メトバ姫  本当の幸せ?あなたが決めた幸せなんか、真っ平ごめんよ! あの山は渡さない!

 


カエル王子  おやおや、やはり、前時代的な思考ですね?良いですか? この国の空がどうしてこんなにも狭いのか、 どうしてこんなにも暗いのか……アサーマ山があるからですよ! あの山があるから、息苦しいまでに圧迫され!空の青空を遮り! 鬱屈とした風景となり!そのせいで民は心を病み! 未来を信じられなくなるのです!あの山さえ!あの山さえ削れば、 より良い世界になるのです!

 


メトバ姫  違います!アサーマ山があるから、水は清らかに!森は青々と! 虫も!鳥も!カエルたちも!皆活き活きと生きられるのよ! そして!アサーマ山の頂に登ればよく分かるわ!空の青さが! 空の広さが!あの山があるから空の広さが分かるのです!

 


カエル王子  それこそ間違いです!山があるから空は狭くなっている!

 


メトバ姫  いいえ!山があるから空は広く感じられます!

 


カエル王子  ぐぬぬ……!

 


メトバ姫  ぬぬぬ……!

 


 メトバ姫、カエル王子、睨み合う。

 


深志  ねえ、メトバ姫?

 


メトバ姫  ……何でしょう、カミサマ?

 


深志  あのー、カエルの被り物?をしているのは……

 


メトバ姫  カエル王子です!

 


深志  あー、そう……縣さんじゃないよね?

 


メトバ姫  あがたさん?誰ですか?

 


深志  いや、こっちの話……

 


カエル王子  何をコソコソと話している!私に怖じ気づいたのか!

 


メトバ姫  何おう!誰が怖じ気づいたって言いますか!今日こそ、 決着させます!

 


カエル王子  望むところだ!ハッケー・ヨー・ノコッターで勝負だ!

 


メトバ姫  受けて立ちます!……カミサマ、出番です!

 


深志  へ?

 


メトバ姫  カエル王子にギャフンと言わせてください!

 


深志  ……え、俺が戦うの?

 


メトバ姫  はい!

 


深志  いやいやいや、ほ、ほら、俺は、神だから、そういうのにはね?… …神?俺は神なのか……いやいや、今はそこじゃないか

 


メトバ姫  よろしくお願いします!(深志の腕を引っ張る)

 


深志  いやいやいや、よろしくお願いしますじゃなくて、ね?

 


メトバ姫  目に物見せてくれます!

 


深志  ほんっと、聞いて!頼むから!

 


カエル王子  ほう……?代役ですか?良いでしょう。 レディを投げ飛ばすのは忍びなかったですからね! 代役を認めます!

 


深志  待って待って待って!まず!ハッケー・ヨー・ ノコッターって相撲?ねえ、相撲をするの? こっち運動らしい運動、全く、していないから、そういう、 力で対抗するの、普通に肉離れの危険があってだね?

 


カエル王子  おやおや?試合放棄ですか?まあ、仕方ありませんね?何せ、 王たる私が相手です。勝てない戦はしない、実に賢い選択です。

 


メトバ姫  誰が勝てないですって!勝ちます!だって、カミサマは…… 強いから!

 


深志  メトバ姫さん?あのですね、こっちを、俺の目を見て?ほら、 俺の!俺の目を見て!あなたのカミサマがお願いしてますよ?

 


メトバ姫  両者、礼!

 


 カエル王子、一礼する。

 


深志  しないって!というか、マーツモの国にもいるでしょ?戦士の方? ほら!アリガーさん!アリガー・サキさん! あの人に戦ってもらいましょうよ!

 


メトバ姫  サキは今、忙しいです!「ピカデリーの激情」 奪還のためにウェダー共和国に潜入中ですから!

 


深志  待って!それ、「メトバ姫の初恋」じゃん!え、 時系列おかしいよ!今はまだ「メトバ姫とサヤエンドウ」 でカエル王子との決闘でしょ?ハッケー・ヨー・ ノコッターの決闘にサキさんが助ける流れでしょ!何で、 もうウェダー共和国に行ってるのよ?

 


メトバ姫  両者、構え!

 


 カエル王子、カエルの構えを取る。

 


深志  何そのポーズ?え?ちょっと、俺、知らない、 そんなポーズ知らない!

 


メトバ姫  両者、塩!

 


深志  塩?え、何何何?違う違う、「両者、礼」してから「両者、見て」 で「始め!」でしょ?塩?え、塩?

 


 カエル王子、塩の構えをする。

 


深志  知らない!メトバ姫!俺の知っているのと違う!俺が書いた、 俺の物語と違う!

 


 突如、ドーンと突き上げる振動。

 全員、バランスを崩す。

 


深志  なになになに、もう、何さ?!

 


カエル王子  アサーマ山の怒りか!

 


深志  !だから!それは「メトバ姫と太陽の王冠」での!シーンでしょ! 何でさ!何で、もうアサーマ山が噴火するのさ……こんなん、 俺の物語じゃない……

 


 深志、へたり込む。

 


カエル王子  ナガーノの民が心配だ……休戦だ、メトバ姫

 


メトバ姫  ……仕方なし、帰り道には気を付けて

 


カエル王子  フッ、私を誰だと?忘れたのならば、今一度聞くが良い!雨よ、 風よ、太陽よ!我が覇道を導き給え!虫よ、鳥よ、カエルたちよ! 我に付き従え!我こそがこの世界の王!ナガーノ帝国第一王子、 カ・エール・カエルだ!

 


 カエル王子、堂々と、颯爽と立ち去る。

 ドーン、と突き上げる振動。

 


メトバ姫  カミサマ!カミサマ!

 


深志  違う違う違う、カエル王子とメトバ姫の関係はこんなんじゃない… …アサーマ山の信仰とか、ウツクシとキリガミの自然の営みとか… …こんな無理繰り詰め込んだんじゃ、折角の世界が台無しだ……

 


メトバ姫  カミサマ!カミサマ!

 


深志  ……俺は神なのか?……そうだ、俺が神ならば、俺が書いた、 話なら、作れるはずだ。そうだ、俺の物語なんだ。俺の、 俺が書いた物語だ!……ペン、ペンはどこだ?ペン、ペンは……

 


メトバ姫  カミサマ!カミサマ!

 


深志  ……あ?あ、メトバ姫、ペンを知らないか?ちょっと高そうな、 あ、値段がな、ちょっと高級感があるペンで、 3000円くらいするんだけど。黒と金の、ペン、知らないか?

 


メトバ姫  カミサマ、落ちます!

 


深志  へ?

 


 瞬間、深志、メトバ姫、地面に穴が空き、落ちる。

 


深志  う?うえ……うわあああ!

 


メトバ姫  カミサマ!カミサマ!

 


深志  (口をパクパクさせている)

 


 メトバ姫、どこかから傘を持って来て、傘を開く。

 


メトバ姫  カミサマ!傘、どうぞ!

 


 深志、傘を受け取ると、ふわり、と落ち着く。

 


深志  ……お?おお…?え、傘で?あ、夢だから?

 


メトバ姫  カミサマ!カミサマ!

 


深志  はあ、はあ、はあ……まず、ペン、ペンを……それから、紙、 原稿用紙なら尚良い……それから、メモ、メモ帳は……

 


メトバ姫  カミサマ!河童の屁が来ます!

 


深志  か、河童?

 


 ぶう!と屁が吹く。

 深志、屁の風に煽られる。

 


深志  くっせぇ!……ペン、ペンを……書かないと、書かないと……

 


メトバ姫  カミサマ!カミサマ!

 


深志  今度は何だ!はあ、はあ、はあ……

 


メトバ姫  爆発します!

 


 瞬間、何かが爆発する。

 深志、爆風に煽られる。

 


深志  うっせぇ!……書かなければ……書かなければ……書かなければ… …

 


 深志、ゆっくりと地面に降り立ち、 そのままゆっくりと這いつくばる。

 メトバ姫、ゆっくりと地面に降り立つ。

 


深志  書かなければ……書かなければ……書かなければ……

 


メトバ姫  カミサマ!カミサマ!

 


深志  書かなければ……書かなければ……書かなければ……

 


メトバ姫  波が来ます!

 


 怒濤の波が来る。

 深志、メトバ、波の中へ。

 


深志N  書かなければ……書かなければ……書かなければ……

 


 メトバ姫、どこかから浮き輪を持って来て、深志の手に持たせる。

 


メトバ姫  カミサマ!浮き輪、どうぞ!

 


深志N  書かなければ……書かなければ……書かなければ……

 


 しばらくして、波が収まる。

 深志、横たえる。

 メトバ姫、深志の横で頬杖ついて座る。

 


メトバ姫  ……カミサマ?

 


深志  ……書かな……

 


メトバ姫  ……カミサマの物語は良く言えば広大無辺、 悪く言えば大風呂敷を広げっ放し。起承転転転転転って、 ずっーと広げて、広げて。あれもこれもお話し広げるだけ広げて、 収集がつかなくなっちゃう。河童の屁も、大波も、今、 構想している物語に出てきますけど、「メドバ姫とサヤエンドウ」 のカエル王子との戦い、まだ回収できていないのに、 また新しいこと出しちゃうんですか? 前のお話はどうなるんですか?カミサマ?ねえ?カミサマ?

 


深志  ふ、ふふふ……出た出た……

 


メトバ姫  ?カミサマ?

 


深志  筋だの、何だの、読者がどうだの、知っちゃこっちゃねぇんだよ… …好き勝手言いやがって…… インパクト頼りで中身スッカスカだの、 キャラが芋臭くてダサいだの、 単語の意味が間違っているから国語辞典を引けだの…… 分かっちゃいない!これは!これは!お、俺の物語だ!!

 


メトバ姫  でも、物語の中の、私たちも困っちゃいます。 何でもかんでも放り込まれたら

 


深志  分かっている!分かっているよ!だから、考えてる!ちゃんと!

 


メトバ姫  本当ですか?信じて良いんですか?

 


深志  ……ペンは、ペンはどこなんだ?書かなければ…… 書かなければならないんだ……

 


メトバ姫  ……カミサマ、カミサマ

 


深志  ……何だ、メトバ姫

 


メトバ姫  カミサマにお願いがあります

 


深志  ん?お願い?

 


メトバ姫  はい!ウェダー共和国のサナーダさん、何か、 悲しいお別れしているじゃないですか?

 


深志  あー、そうだな、サナーダさんとはあれで終わり……

 


メトバ姫  もう一度、会わせてください

 


深志  へ?

 


メトバ姫  そして、サナーダさんとラブラブにしてくださいっ!

 


深志  ……いや、あのね、メトバ姫。これは、その、ネタバレ? になるのだけど、君が最後に愛するのは、カエル王子でね?

 


メトバ姫  サナーダさんとラブラブにしてくださいっ!!

 


深志  ぐう、もっと人の話しを聞く子に……いや、 それではメトバ姫の魅力が……

 


メトバ姫  お願いします

 


深志  あー、そうだな、考えとくよ?うん

 


メトバ姫  ……カミサマ、カミサマ

 


深志  何だ、メトバ姫?

 


メトバ姫  あっちがカミサマの世界です。 こっちがカミサマの世界で言うところの天国です

 


深志  おお?!そうなの?え?あっちに行ったら、 生き返られるってこと?え、そういうこと?おおお……

 


 メトバ姫、深志を天国側に引っ張る。

 


深志  ?え、メトバ姫、何してるの?

 


メトバ姫  ……(ぐいぐいと引っ張る)

 


深志  え、え、そっちは天国なんでしょ?ちょ、そっちに行ったら、し、 し、しん……あれだから、ちょっと引っ張るのを止めよ……?

 


メトバ姫  ……(ぐいぐいと引っ張る)

 


深志  待って待って待って!引っ張らないで!メトバ姫さん!止めて!

 


メトバ姫  ……(ぐいーっと引っ張る)

 


深志  分かった!サナーダさんともう一度会わせて、ラブラブにする! もう、めちゃめちゃラブラブにするからぁ!

 


メトバ姫  ……ラブラブ?

 


深志  そう!ラブラブ!

 


メトバ姫  結婚も?

 


深志  ……え?

 


メトバ姫  ……(ぐいぐいと引っ張る)

 


深志  する!結婚もする!国を上げて盛大に祝う結婚式もしちゃう!

 


メトバ姫  子どもも?

 


深志  子宝に恵まれる!えっと、一男一女の……

 


メトバ姫  もっと

 


深志  えっと、えっと、ウェダー共和国も?考えて、二男一女?

 


メトバ姫  もっと

 


深志  ええ?逆に何人欲しい?

 


メトバ姫  えー?そうですね……四男三女?

 


深志  おお……なるほど……分か、った。四男三女の子どもに恵まれる!

 


メトバ姫  末永く?

 


深志  末永く幸せになる!マーツモの国も繁栄する!

 


メトバ姫  むふー!ありがとうございます!

 


深志  (溜息)メトバ姫、君ってそんな強引だったっけ?

 


メトバ姫  カミサマの深層心理?に影響されてるかもしれません! これで一安心です!

 


深志  一応、言っておくけど、カエル王子も良い奴だぞ?

 


メトバ姫  良い奴でも、好きになるかは別じゃないですか?

 


深志  いや、まあ、それは、そうだけどさ……

 


 メトバ姫、ペンを出す。

 


メトバ姫  カミサマ!ペン、どうぞ!

 


深志  ……ありがとう。これで書ける

 


メトバ姫  待ってます。カミサマ、私、待ってます!

 


深志  あ……

 


メトバ姫  お会いできて嬉しかったです!私の、私たちの世界を、 よろしくお願いします!

 


深志  分かった、分かった……

 


メトバ姫  信じてますからね!

 


深志  ……はい

 


メトバ姫  アハハ!じゃあ、カミサマ! またお会いできる日を楽しみにしています!ご機嫌よう!

 


 メトバ姫、くるくると回りながら消えていく。

 深志、メトバ姫を見送って、元の世界へ。