Facebookで投稿した記事をそのまま載せる。
私の率直なレビューである。
2022年7月中旬、民泊アトリエ吐夢のインターホーンを鳴らした。
インターホーン越しから「どうぞー」と声がした。
玄関のドアを開くと、宿主であるKahori Nishidaさんが出迎えてくれた。
民泊アトリエ吐夢は会員制の民泊である。
Nishidaさんのご自宅を宿泊用にリニューアルしている。
夏の日差しに白い壁は良く映える。
Nishidaさん宅には何度か訪問している。
しかし、「民泊アトリエ吐夢」として利用するのは初である。
加えてNishidaさん宅に宿泊するのも初めてで、私はちょっと高揚していた。
靴を脱いで、ジャングルの奥地に分け入るように家の中へ。
古本がそこかしこに積まれ、遮光カーテンが夏の日差しを柔らかく受け止めていた。
乱雑のようでいて整然とある物々はこの家の静謐な空間を保つのに一役買っていた。
部屋に入ると、ベッドの上に並べられた物が目に入った。
スカートだ、私がスカートを好んで着始めたことを知ったNishidaさんが用意してくれた。
「どれから着る?」とはしゃぐ彼女とファッションショーを開催したのは言うまでもない。
2時間ほどあれこれと着た後、お風呂を勧められたので一風呂を浴びた。
さっと汗を流して、夕食のために応接間へ、机の上には3人前のパスタ!
私のことをよく分かってらっしゃる!
食事をしながら、Nishidaさんとお喋りした。
私の楽しみの一つが彼女の言葉に出会うため。
今宵も新たな気付きがあって、私の言葉の箪笥に仕舞った。
Nishidaさんから「民泊アトリエ吐夢のレヴューを書いてくれ」、と言われた。
正直、意外であった。
他の人を招き入れるのは彼女にとって簡単ではない、と感じていたからだ。
Nishidaさんは取っ付き難い人だ。
独特の雰囲気があり、その雰囲気は彼女の知的の表れでもあるのだが、他者には名状し難い怖さを印象付けるかもしれない。
彼女の洞察によって磨かれた言葉の鋭さは、傷付き易い大人には恐ろしく感じるかもしれない。
話せば愛嬌があり、客人のためにあれこれと働いてくれる良い人で在る。
ただ、彼女があれこれ手を回す中で、うっかり彼女の言葉は相手の奥深くに刺さってしまうことがある。
私は彼女の言葉を聞きたいがために会いに行くが、人によってはかなりの痛手になるかもしれない。
実は宿泊は6月に予約していた。
しかし、彼女の体調の都合でキャンセルとなった。
7月は彼女の体調が良さそうと連絡があり、摺り合わせて予約した。
他者を迎え入れることはNishidaさんにとって簡単なことではない。
気心知れた友人だから解放している空間だ。
気を許してくれているから、私の我侭や彼女の我侭がまかり通るのだ。
そも、普通の宿泊としてもオススメできない。
交通の便は悪く、Wi-Fiはなく、民泊特有の他者の家に居る感覚のために若干緊張して寝付け難い。
寝て翌日に備えるだけならインターネットで星が付く宿泊先を探した方が断然良い。
では、彼女のチャレンジは無意味なのだろうか?
安曇野の片隅にある、この家の価値はないのだろうか?
遠くでカエルの鳴き声が響き渡る。
Nishidaさんは友人たちとの話を明かしてくれた。
彼女は質問された、「10年後にも残って欲しいのは?」、「あなたにとって大事なモノは?」。
彼女は「家」と答えた、と教えてくれた。
この家に来れば分かる、Kahori Nishidaが表現したい空間が在る。
古本がそこかしこに積まれ、遮光カーテンが夏の日差しを柔らかく受け止めている。
乱雑のようでいて整然とある物々はこの家の静謐な空間を保つのに一役買っている。
彼女の美意識の体現がこの家に息衝いている。
私は別の国を旅しているような奇妙な感覚を覚える。
気付けば、私も乱雑のようでいて整然とある物々と同じく、この家の静謐な空間の一部となっているのだ。
冒険、これは冒険だ。
彼女にとって他者と会うのは冒険だ。
この家の奇妙な空間を浸るのも、冒険に違いない。
ただ寝て翌日に家に帰るだけなら、普通の宿泊が良いだろう。
しかし一晩、冒険をしてみたいのであれば、是非泊まって欲しい。
あなたにとって奇妙で静かな夜となるだろう。
冒険、これは冒険である。
あなたが思い描く「冒険」とは違うかもしれない。
しかし、やはり、冒険だ、お互いにとって。
わざわざ、安曇野の片隅の、この家に来るのだ。
これが冒険と言わずして何と言おうか!
Nishidaさんにとっても、あなたにとっても、新しい発見がある、これは大冒険だ!
だから、一言に集約するならば、タイトルの言葉になった。
「一泊の冒険をしたいなら」
私の拙い言葉でこの家の、Nishidaさんの魅力を表すならば、一泊の冒険の勧めである。
ご興味がある方は私かNishidaさんにDMを送って欲しい。
冒険の片道切符の案内をしよう。
冒険はすでに始まっていると心得て頂きたい。