ネガティブ方向にポジティブ!

このブログは詰まらないことを延々と書いているブログです。

248

欠伸がまろび出る。

何をそんなに急いているのか、一目散に出ていく。

ぼんやりした視界の中、微睡みながら、欠伸が出て行くのを見送る。

 

考えれば、見送るばかりの人生だ。

希望を胸に先んじて歩く人たちを、私は陽炎のような揺らめきに身を任せて、眺めるばかりだ。

 

花を見れば、花の美しさを愛でる。

鳥を見れば、鳥の飛ぶ速さに驚く。

風が吹けば、風で運ばれたであろう遠い異国の匂いを感じる。

月が照れば、月の慈しみの明かりの下で、ただただ、見上げる。

 

そうやって、謳歌する世のすべてのものの遥か後ろで、私は欠伸をしているのだ。

アキレスと亀」で言えば、世のすべてのものが「亀」で、私が「アキレス」だ。

 

その気になれば、アキレスが亀を追い越すのは容易い、と多くの人は声を上げるを

しかし、もし、追い越した亀はすでに地球を1000万周していて、アキレスは999万9999周分の周回遅れだとしたら?

不可能ではないかもしれないが、その道程が困難なのは、想像に難くない。

 

アキレスは追い抜くために、困難な一歩を踏み出すだろうか?

アキレスが駆けている間も、亀も進んでいるのに?

これは愚問だろう、それでも、アキレスは駆け出す。

アキレスの胸には希望があるのだから。

 

駆け出す人を、傍観する私は、気のない声で応援する。

前述で私は「アキレス」と宣ったが、何処もアキレスではなかった、反省する。

アキレスでも亀でもない私は、やはり、陽炎だ。

 

欠伸がまたまろび出る。

気を付けて、と気のない声をかけて、また見送った。