10月、夜の寒さに山の木々も身震いしているかもしれない。
昼の太陽は燦々と万遍なく光を降り注いで、逆に暑く感じる時がある。
昼と夜の寒暖差が大きい時期だ。
何たらの秋、と銘打って何かをし始める口実が出る時期でもある。
食欲の秋、読書の秋、運動の秋…様々な秋がある。
昼は身体を動かすのに適し、夜はじっと思索するのに適しているから、様々な秋があるのだろう。
何かをし始めるのに口実が必要だ。
むしろ、本当は何かをし始める時にこそ口実が欲しい。
何かをやらないのに逃げ口上ばかり達者になるが、自分を納得させるものがないまま何かをし始められるほど人間は、いや、私は強くない。
「秋なのだから」が口実になるのは日本らしい気がする。
古来から稲を刈ってきた農耕民族の血に即している気がするのだ。
「秋なのだから」を口実にするのは、長い冬を乗り越えるために血を沸かして備えるために唱えたのが最初なのかもしれない、と昔に思いを馳せてみる。
怠け者の権化である私であるが、何かをし始めるのに丁度良いかもしれない。
途中で読むのを止めてしまった本を再び読み始めても良いかもしれない。
秋なのだから、私も何かをし始めよう。
10月、夜は寒く木々は枝をしならせ風が通ったことを知らせる。
お互いに寄り添った葉は何時しか赤く、黄色く、色付いてきた。
秋本番までもう少し、その後は、長い冬だ。
取り敢えず、何かをしようと漠然と考えながら、秋の知らせを書き記す。