廊下に出ようとして父と鉢合わせた。
ちょっと扉の前でたたらを踏んでいると、父は机にさっと物を置いて引き返した。
父の後を追うように冷気蔓延る廊下を歩いた。
小さい用事を済ませて、水道水をコップに入れた。
流し台には無造作に切られた菊の茎が数本落とされていた。
菊の茎は後で三角コーナーにまとめて捨てられるのだろう。
椅子を三つ並べて横になった。
人も斑な広い食堂で仮眠した。
右耳にテレビのコメンテーターの声がくぐもって聞こえた。
自動販売機でプライスで120円の缶コーヒーを買った。
商品受け取り口から缶コーヒーを出そうとしたら、ファンファーレが流れた。
「おめでとう!当たりだよ」と音声が流れ、私は思わず同じ缶コーヒーを押していた。
アラブ首長国連邦で日本代表が戦っていた。
20歳の若い選手がヘディングで得点し、それがそのまま試合を決めた点となった。
向こうは30度の熱さだと実況者は言っていた。
パソコンの前で指をカチャカチャと鳴らした。
「さすらい」、「無根拠の自信」、「おたんこなす」と意味も無く言葉を書いては消したいた。
指を止めれば、言葉も止まって凍りついた。
1日を振り返って書く。
特に特別なことはない。
ただ、先述したどの話しも長く書こうとすれば1000文字は書けるのではないだろうか?
これらの出来事は繋がりがあるのだろうか?
1日の中に起きたできごとに、その1日の中で収束するのだろうか?
振り返っても、何ら特別でないことが何時か懐かしむ日になるだろうか。
愛犬がくしゃみをした。
早く終わりにしろとの催促、な訳が無いか。
1日を振り返って、たたらを踏んで、また明日に会いましょう。